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巨人の後半戦急失速、阪神「ほぼ優勝」レベルの躍進、ヤクルト日本一の決定的要因とは《成績で見る勝因敗因/セAクラス》 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/12/30 11:10

巨人の後半戦急失速、阪神「ほぼ優勝」レベルの躍進、ヤクルト日本一の決定的要因とは《成績で見る勝因敗因/セAクラス》<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

巨人の原監督、ヤクルト高津監督、阪神の矢野監督。セAクラスに導いた3球団の来季はどうなるか

何といってもルーキーの活躍が大きかった

 今季の阪神は、何といっても「新人選手による嵩上げ」の影響が大きかった。

 昨年ドラフトの目玉、佐藤輝明が中軸に座っただけでなく、ドラフト6位の中野拓夢が木浪聖也を押しのけて遊撃の正位置に。2人揃って規定打席に到達し、オールスターに出場。中野は盗塁王を獲得。さらにドラフト2位の伊藤将司も開幕からローテを維持して10勝。レギュラー選手2人と先発投手1人をオンしたのだから、阪神が強くなったのも当然の話だ。

 最近の傾向として、各球団では外国人打者が脇役に回ることが多いが、その中でもマルテは四球が三振よりも2つ多い74、一塁守備も堅実で、貢献度が高かった。サンズも含め4人が20本塁打と例年になく打線も厚みを増した。スタメンが固定され、8人が規定打席に到達、打線は充実していた。

 先発ではエースの西が100勝を目前に足踏みしたが、技巧派サブマリンの青柳が最多勝、秋山も10勝、ガンケルも9勝、伊藤将司も含めて安定したローテを形成した。そして救援陣では、スアレスが最多セーブ。セットアッパーの枚数は少なかったが岩崎も41ホールドと活躍し、勝利の方程式ができていた。

 後半戦、佐藤輝明が大スランプに陥ったが、チーム力は大きく下がらず。ヤクルトに競り負けたが、阪神は健闘したといえるだろう。

 しかしながら来季は守護神スアレスがMLBに移籍。現時点でクローザーは不在だ。佐藤輝明、中野拓夢、伊藤将司の「2年目」も気になるところだ。依然として戦力は充実しているが、不確定要素も多い。

ヤクルト:勝利へ向けたパーツが出揃う

<1位 東京ヤクルトスワローズ>
73勝52敗18分 勝率.584
チーム打率.254(3位)チーム防御率3.48(3位)

・打線
1(中)塩見泰隆 132安14本59点21盗 率.278 RC79.26
2(左)青木宣親 115安9本56点0盗 率.258 RC58.24
3(二)山田哲人 134安34本101点4盗 率.272 RC94.21
4(三)村上宗隆 139安39本112点12盗 率.278 RC113.78
5(一)オスナ 121安13本60点3盗 率.258 RC50.34
6(捕)中村悠平 105安2本36点0盗 率.279 RC49.83
7(右)サンタナ 108安19本62点2盗 率.290 RC66.16
8(遊)西浦直亨 54安5本24点1盗 率.223 RC22.29

・先発
小川泰弘 23試9勝6敗128.1回 率4.14 PR-4.42
奥川恭伸 18試9勝4敗105回 率3.26 PR6.65
田口麗斗 33試5勝9敗100.2回 率4.02 PR-2.13
石川雅規 17試4勝5敗82回 率3.07 PR6.92
スアレス 24試5勝3敗77回 率3.62 PR1.80
高橋奎二 14試4勝1敗78.1回 率2.87 PR8.36

・救援
清水昇 72試3勝6敗1S50H67.2回 率2.39 PR10.83
マクガフ 66試3勝2敗31S14H64.1回 率2.52 PR9.36
今野龍太 64試7勝1敗0S28H62回 率2.76 PR7.37
石山泰稚 58試0勝5敗10S9H55回 率3.60 PR1.41
坂本光士郎 36試1勝2敗0S7H33.1回 率4.05 PR-0.81
大西広樹 33試3勝0敗0S7H38.1回 率2.82 PR4.30

 元々ヤクルトは「打高投低」のチームであり、投手陣には大きな期待は持てなかったが、ここ数年は肝心の打線もぱっとせず、下位に低迷していた。

【次ページ】 先発・救援の整備と奥川の急成長

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