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若手台頭も最下位DeNA、貧打の中日、鈴木誠也が抜けるカープ…打開策はどこに?《成績で振り返る勝因敗因/セBクラス》
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySports Graphic Number/Kyodo News
posted2021/12/30 11:09
(左から)DeNA三浦監督、中日の立浪新監督、広島の佐々岡監督は懸念を振り払えるか
チーム本塁打69本は断トツの最下位。5位の阪神でも121本だった。2けた本塁打はビシエド(17本)と捕手の木下拓哉(11本)、50打点以上はビシエド(70打点)だけ。ライバル球団から見て全く怖くない打線だった。
それ以上に悩ましいのは、若手が育っていないこと。1番大島は36歳、33歳の福田永将、32歳の阿部寿樹などがスタメンに名を連ね、球界最年長、44歳の福留孝介が3番で6試合、5番で33試合に先発出場していた。
昨年3割を打った27歳の高橋周平も今季は成績が落ち込み、チームは根尾昂を開幕からスタメンで起用し、何とか引き上げようとしたが今季も打率.178、1本塁打に終わった。若い打者が伸びてこず、ベテラン、中堅を重視して使わざるを得ないことが沈滞ムードを醸し出している。昨年、62試合で9本塁打29打点、率.294を残した両打のアルモンテを放出したのが惜しまれるところだ。
2冠の柳を筆頭に投手陣は一線級
投手陣は2020年、沢村賞を獲得したエース大野雄大が開幕から出遅れるも、柳裕也が奪三振、防御率の2冠を獲得。大野も後半戦は盛り返し、小笠原慎之介も含め3人が規定投球回数に到達。一線級の先発投手陣だった。
救援は100マイルの剛速球が武器のクローザー、マルティネスにつなぐ「勝利の方程式」ができていた。特に又吉克樹が完全復活したのが大きかった。
しかしながら打線の援護が乏しかったために先発、救援ともに「宝の持ち腐れ」になった印象だ。
来季は又吉克樹がFAでソフトバンクに離脱するが、後半戦はほとんど打たれていなかった藤嶋健人がその穴を埋めるのではないか。
そういう意味では、来季の課題も「打線」。端的に言えばBクラスの戦力だが、中日史上最多の2480安打を放った立浪和義新監督はどこまで打撃陣を立て直すことができるだろうか?
広島:鈴木誠也メジャー挑戦も「育成」は開花寸前?
<4位 広島東洋カープ>
63勝68敗12分 勝率.481 首位と13.0差
チーム打率.264(1位)チーム防御率3.81(5位)
・打線
1(二)菊池涼介 137安16本60点1盗 率.277 RC68.84
2(遊)小園海斗 134安5本35点4盗 率.298 RC55.74
3(左)西川龍馬 144安12本60点3盗 率.286 RC64.82
4(右)鈴木誠也 138安38本88点9盗 率.317 RC116.28
5(一)坂倉将吾 133安12本68点4盗 率.315 RC76.52
6(三)林晃汰 95安10本40点0盗 率.266 RC39.05
7(中)野間峻祥 68安2本12点9盗 率.272 RC14.00
8(捕)會澤翼 46安3本22点0盗 率.256 RC20.21
・先発投手
九里亜蓮 25試13勝9敗149回 率3.81 PR0.33
森下暢仁 24試8勝7敗163.1回 率2.98 PR15.43
大瀬良大地 23試10勝5敗146.2回 率3.07 PR12.39
玉村昇悟 17試4勝7敗101回 率3.83 PR0.00
床田寛樹 16試5勝4敗87.1回 率3.19 PR6.21
高橋昂也 15試5勝7敗73.1回 率5.28 PR-11.81
・救援投手
森浦大輔 54試3勝3敗0S17H48.1回 率3.17 PR3.54
栗林良吏 53試0勝1敗37S0H52.1回 率0.86 PR17.27
島内颯太郎 51試0勝2敗0S15H49回 率3.12 PR3.87
塹江敦哉 51試5勝4敗0S17H42.1回 率4.25 PR-1.98
コルニエル 50試1勝2敗0S10H61.1回 率3.82 PR0.07
ケムナ誠 40試2勝2敗0S12H39.1回 率4.58 PR-3.28
2016年からリーグ3連覇していた広島がここ3年低迷しているのは、最大のポイントゲッターだった丸佳浩が巨人にFA移籍したことが大きい。2017、18年と2年連続MVPの丸の存在感はそれだけ大きかったのだ。