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フェラーリ、新幹線、大阪メトロ…凄腕“世界的デザイナー”は、なぜJ2山形の新エンブレムを「代表作」と呼ぶのか?
text by
生島洋介Yosuke Ikushima
photograph byJ.LEAGUE
posted2021/12/25 11:02
来シーズンからロゴとエンブレムを一新することを発表したJ2モンテディオ山形。「残していきたいクラブの誇り」をデザインに込めた
奥山はサッカークラブのエンブレム・ロゴ変更のトレンドにも精通していた。
17年に刷新したユベントスを追うように、Jリーグでも19年に東京ヴェルディ、20年に清水エスパルス、そして来季から新エンブレムを使用するガンバ大阪と、時代に合わせたミニマル化が相次いでいる。
エンブレムが掲載される媒体がアナログからデジタルへ、さらにパソコンからスマホとなり、これまでの複雑なデザインではうまくいかなくなった。とりわけ画面で見た際の視認性が問題となってきた。グーグルしかり、日産しかり、同じ方向性のロゴ変更は、サッカークラブに限らず行われている。
また四半世紀も前のエンブレム・ロゴは、アパレルやグッズなどマーチャンダイズの展開でも受け入れられやすいものではない。ガンバの新しいエンブレム・ロゴからも狙いが伝わるように、要は様々な面で使いにくいものになってしまったというのが概ね共通した変更理由になっている。
残していきたいクラブの誇り
そうした世界の流れも踏まえた上で、山形という土地やJリーグという土壌にあった方向性を追求し、100を越えるデザイン案から絞り込んでブラッシュアップを重ねたのが、「継承と進化」をコンセプトとした新エンブレムだ。
ユベントスやガンバ大阪のようにまったく新しいものに変えたわけではない。地に足をつけ山形なりの方向性を定めた。相田社長がホームゲームのたびにファン・サポーターとの会話からさぐってきた「残していきたいクラブの誇り」は守りつつ、これからの時代にも長く愛されるものを目指した。
「歴史を見守ってくれたエンブレムとロゴですから、伝統は受け継ぎながら、新しい時代に合わせた形で我々がどういう土地のどういうクラブであるのか、海外へ出た時にもわかりやすいものにしたいと思っていました。それを奥山さんに形にしてもらえた」(相田社長)