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“モメた東京五輪開会式”で流れたドラクエ神曲と聖火リレー、メダルラッシュ、悲劇、号泣… 名シーンと“金言”を振り返る
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJMPA
posted2021/12/31 06:03
東京五輪が開催された国立競技場
体操・橋本の新王者誕生、キング内村は……
<名言6>
何やってんだバカ、という感じ。それ以上でも以下でもない。自分のせいなので、何も言い訳はしません。
(内村航平/Number1032号 2021年7月29日発売)
<名言7>
チャンピオンは涙を流さず、前だけを見ているものだという考えをもっていきたい。
(橋本大輝/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
◇解説◇
ニッポンのお家芸・体操。大きく報じられたのは内村と橋本の演技だった。
誰もが言葉を失ったのは体操男子予選でのこと。鉄棒一本に懸けた内村は、超高難度の大技からの離れ業を連続して成功。さすがの技量を見せた……はずが、まさかの落下。内村にとって4度目の五輪挑戦は事実上、この瞬間に終わった。
「自分としては代表が決まってから強い気持ちでやってきたつもりでしたが、本当にそのつもりだったのか」
内村は自らを厳しく責めた。「ショックだった」(谷川航)、「航平さんの失敗は合宿でも見たことがなかった」(北園丈琉)と話したようにショッキングな出来事だったのは間違いないが――それを払拭するような「美しい体操」を橋本が見せて、個人総合と種目別鉄棒で金メダルを獲得したのは、体操ニッポンにとっては大きな光となった。
なお、橋本は団体戦で銀メダルを獲得。しかしROCにわずかに上回られた結果を受けて、このように語っている。
「人生で本当にうれしい瞬間とは、言葉では言い表せないものだと感じた。でも、やっぱり団体のみんなで表彰台の一番高い段に上りたかった。ここで涙を流してしまうと今の状態に満足してしまうことになる」
長年にわたってエースを張り、世界の頂点に立ち続けた内村も、団体戦への思い入れは人一倍だった。体操界のキングを継承するために、橋本ならさらにその心技体を磨き上げることだろう。
女性アスリートたちが見せた凛々しい戦いぶり
<名言8>
泳ぎながら、「あ、これ、オリンピックで泳いでいるんだな」と考えていました。うれしく、不思議な感じでした。
(大橋悠依/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
<名言9>
ただ必死に、がむしゃらに戦って、その気持ちを福島に置いて帰れるようにしたい。
(上野由岐子/Number1032号 2021年7月29日発売)
<名言10>
最後は2人笑って終わろう。
(川井友香子/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
<名言11>
私1人だとできることも限られてくるが、友香子と2人で何ができるかを考えあった。
(川井梨紗子/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
<名言12>
私は器用な人間じゃないので、仕事をやるなら仕事に集中したいですし、ボクシングだったらボクシングのことだけを考えていたい。
(入江聖奈/NumberWeb 2021年9月16日配信)
◇解説◇
東京五輪では女性アスリートの清々しく、たくましい戦いぶりも目立った。
今大会ではやや苦戦を強いられた競泳だったが、大橋は200m、400m個人メドレーの金メダリストとなった。大学時代に出場した日本選手権で最下位の40位に終わったアスリートが、世界一になったことに勇気をもらったスイマーも多いだろう。
13年越しで2つ目の金メダルを掴んだのは上野。「上野の413球」と評された2008年北京五輪後から、野球・ソフトボールが実施競技から外れ、五輪の1年延期まで味わった。それでも39歳となりながらも主戦ピッチャーとしてマウンドに立ち、次世代のエース候補・後藤希友とともに宿敵アメリカを再び撃破した。
レスリング・ボクシングでも印象的な戦いが数多かった。川井姉妹はケンカすることがありながらもお互いを高め、金メダルをつかみ取った。
また注目度が上がったのは入江。笑顔で入場し、落ち込むとカエル図鑑やオタマジャクシを見て癒されるというキャラクターの良さが先行したものの、「今後の目標は次の世界選手権でも金メダルをとること。でも来年4年生になったら就活もしないといけない」と大学いっぱいで競技にピリオドを打つ予定であることを明かすなど、現実をしっかりと見据えている一面も、彼女の魅力と言える。