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“モメた東京五輪開会式”で流れたドラクエ神曲と聖火リレー、メダルラッシュ、悲劇、号泣… 名シーンと“金言”を振り返る
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJMPA
posted2021/12/31 06:03
東京五輪が開催された国立競技場
「ラスカル」「真夏の大冒険」だけじゃないスケボーの魅力
<名言20>
まだ出したいトリックはあったんですよ。
(堀米雄斗/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
<名言21>
(試合中に)ラスカルの話をしてました。
(西矢椛/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
<名言22>
夏にさくらを満開にする。
(四十住さくら/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
◇解説◇
「鬼ヤベェ」「ゴン攻め」「13歳、真夏の大冒険!」……解説や実況で数々の名言が生まれたスケートボードだが、若きアスリートたちの、競技に対する純真さも観る人々を魅了した。
金メダルに輝いた堀米は大会直後のインタビューで「新しいトリックも出したかったけど、ランが思った通りにいかなくて結局ベストトリックも最初の方は抑えていった。もっと攻めていきたかった」と語っている。この言葉通り、メダルの色を争うというよりも、自分にとって最高の演技を見せるチャレンジ精神にあふれていた。
そして、果敢に挑んで失敗しても――ほかの選手たちが称えるという空間は、スケートボードが持つ独特かつ、美しい文化だった。
いわゆるアーバンスポーツではサーフィンの五十嵐カノアが銀メダルを獲得するなど、競技の新たな可能性と魅力を拡張してくれた。
パラリンピックで見た新たなアスリートの可能性
<名言23>
まあ僕の性格上、ネガティブになることはなかったんで。
(鳥海連志/Number1038号 2021年10月21日発売)
<名言24>
日本のみなさんに、ハイレベルなプレーを見てほしい。海外にも面白いプレーをする選手はたくさんいるので、車いすのファンを増やしたいと思っています。
(国枝慎吾/NumberWeb 2021年9月18日配信)
◇解説◇
オリンピック後に開催されたパラリンピックでも、数多くのアスリートが自らの身体性とメンタルを究極に磨いた力を見せてくれた。この大会の象徴的なアスリートとなったのは、車いすバスケの鳥海と車いすテニスの国枝だろう。
端整なルックスから「車いすバスケ界の流川楓」とも評された鳥海は、3歳時に両下肢を切断しながらも“普通の子ども”として育てられ、幼少期から抜群の運動神経を誇っていた。中学からバスケを始めるとメキメキと上達し、日本のエース格へと昇り詰める。その実力が花開いたのが東京パラリンピックだった。
今大会、チームメートのサポートも十全にあったことを認めたうえで「俺の力が足りなかったから、金メダルが取れなかった」と言う姿には、傲慢さではなく個人の力で戦う新時代のアスリートとしてのプライドを感じる。
圧倒的な個の能力で、第一人者であり続けた存在と言えば国枝だ。
ロジャー・フェデラーが残した「日本には国枝がいるじゃないか」という言葉はあまりにも有名だが、ここ数年は台頭した新世代との戦いの場に身を置いていた。シングルスでのメダルを逃したリオ五輪後には超攻撃型テニスの構築を目指すなど貪欲さを失わず、東京で通算4個目(単複含む)の金メダル獲得を成し遂げた。
なお国枝はパラリンピック直後に行われた全米オープンでも連覇を達成。進化をとどめることはなさそうだ。