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荻野貴司と辰己涼介に投票した記者の眼力に脱帽…「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈パリーグ編〉 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/12/21 17:15

荻野貴司と辰己涼介に投票した記者の眼力に脱帽…「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈パリーグ編〉<Number Web> photograph by Kyodo News

ゴールデングラブ賞を受賞した(前列左から)柳裕也、甲斐拓也、山本由伸(後列左から)辰己涼介、近本光司、宗佑磨

【外野手】
・左翼
◎荻野貴司(ロ)/守率1.000(1)RF2.21(1)補殺6(5)
栗原陵矢(ソ)/守率.995(3)RF1.67(7)補殺5(7)
島内宏明(楽)/守率.988(7)RF1.66(8)補殺7(3)
西川遥輝(日)/守率.991(5)RF1.87(6)補殺2(11)

・中堅
◎辰己涼介(楽)/守率.993(4)RF2.09(3)補殺8(2)
◎柳田悠岐(ソ)/守率.964(11)RF1.48(11)補殺7(3)
淺間大基(日)/守率1.000(1)RF2.04(4)補殺6(5)
福田周平(オ)/守率.987(9)RF2.17(2)補殺4(10)

・右翼
杉本裕太郎(オ)/守率.977(10)RF1.63(10)補殺11(1)
愛斗(西)/守率.988(8)RF1.66(9)補殺5(7)
岡島豪郎(楽)/守率.991(6)RF2.01(5)補殺5(7)

 外野のゴールデングラブ賞は中堅手が選ばれることが多いのだが、今年のパはロッテの左翼、荻野が選ばれている。荻野は前年まで中堅を守っていた。

 守備の衰えは感じなかったものの、今季から左翼に回って窮地を救うような好プレーがしばしば見られた。守備範囲を示すRFは中堅手を差し置いて1位だ。ソフトバンク栗原、楽天・島内ともに守備は堅実だった。

日本シリーズの勝敗を分けた「レフト守備」

 なお今年の日本シリーズ、最終の第6戦は左翼手の守備で決した感がある。ヤクルトが挙げた2点はいずれも左翼へ飛んだ安打で走者が本塁に突入したものだ。

 1点目はオリックスの左翼・吉田正尚の送球を遊撃手・紅林がカット。その中継プレーをかいくぐりオスナが本塁を踏んだ。2点目は吉田正尚の肩を見越したヤクルトの福地寿樹三塁コーチが迷わず腕を振り、塩見が本塁を陥れたもの。右手を死球で骨折していた吉田の守備を責めるのは酷ではあるが――ロッテ荻野の機敏な守備を見るにつけても、左翼に守備の名手を置く意味は大きいと思う。

 中堅では楽天の辰己とソフトバンクの柳田がゴールデングラブに選出された。辰己は俊足で守備範囲も広く、好プレーを見せた。今年最も成長した外野手だろう。

 一方で、今季の柳田は中堅だけでなく右翼も守ったが、守備範囲は小さくなった印象がある。強肩を活かした補殺こそ目立ったが、失策も最多で、ゴールデングラブ6回の名手にやや陰りが見えた印象。「外野は柳田」というイメージで選ばれた感もある。

 オリックス福田は今季、内野から中堅にコンバートされた。俊足だけに守備範囲は広かった一方で目測を誤って安打にするなど数字に出ないミスもあった。まだ発展途上というところか。

 右翼では今季バットで大ブレークしたオリックスの杉本がリーグ最多の11補殺。巨体から繰り出す送球で走者をアウトにしていた。ベストナインは順当だが、杉本は今年が実質1年目、右翼守備の名手になるかどうかは今しばらく判断を待つ必要があるだろう。

【次ページ】 捕手はやっぱり「甲斐キャノン」、すごい盗塁阻止率

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