- #1
- #2
酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
荻野貴司と辰己涼介に投票した記者の眼力に脱帽…「イメージ抜きの守備指標」でゴールデングラブ賞を検証〈パリーグ編〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/12/21 17:15
ゴールデングラブ賞を受賞した(前列左から)柳裕也、甲斐拓也、山本由伸(後列左から)辰己涼介、近本光司、宗佑磨
捕手はやっぱり「甲斐キャノン」、すごい盗塁阻止率
捕手のRFはその多くが三振の処理なので、あまり重要ではない。守備率に加え、盗塁阻止率を考慮したい。
【捕手】
◎甲斐拓也(ソ)/守率.999(1)RF8.53(1)阻止率.452(1)
清水優心(日)/守率.997(2)RF6.48(5)阻止率.203(5)
太田光(楽)/守率.996(3)RF6.92(3)阻止率.379(3)
森友哉(西)/守率.993(4)RF7.31(2)阻止率.274(4)
伏見寅威(オ)/守率.993(5)RF6.78(3)阻止率.415(2)
今季11月に29歳になったソフトバンクの甲斐拓也だが、いささかの衰えもない。守備面では文句なしにパ・リーグ1の捕手だ。昨年、盗塁阻止率.328で楽天・太田光.333の後塵を拝したが、今季は.452と復活。機敏な守備も含めてパの他の捕手とはかなりの差があるとみるべきだろう。
投手のゴールデングラブはオリックスの山本由伸が受賞。セ・リーグでも言及したが、投手部門は好投した先発投手への「ご褒美」という印象が強い。ただ好投手は野球センスが抜群で、守備もうまい選手が多いから、その判断があながち間違っているということではない。
こうして守備成績を見ていくと「記録に残る守備」と「記憶に残る守備」があることを感じる。我々はどうしても派手な動きの「記憶に残る守備」に目が行きがちだが、玄人好みのする守備の名手を掘り起こして投票するのも選考委員の役割だ。
そういう意味ではパの外野で辰己と荻野を選考した記者の眼力には敬意を表したい。<セ・リーグ編に続く>