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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
冨安健洋が現政権ベストゴールに関与も…主将オーバメヤンが「規律違反」 アーセナルが抱える“不甲斐ないベテラン問題”
posted2021/12/14 17:21
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
David Price/Getty Images
アーセナルのDF冨安健洋が2つの得点に絡んだ。
11日に行われたプレミアリーグ第16節のアーセナル対サウサンプトン戦で、冨安は右サイドバックとして13試合連続の先発出場を果たした。前半21分にはビルドアップから攻撃に加わり、華麗なパスワークで先制ゴールを導いた。その6分後にもファーサイドへのクロスボールで2点目の起点になった。後半20分に放ったヘディングシュートは相手GKのファインセーブに阻まれたが、これまで以上に攻撃面での貢献度が高い一戦となった。
守備も盤石だった。
序盤こそ、チーム全体がサウサンプトンの攻めに苦しんだが、先制点を機に試合をコントロール。冨安も安定した守備を見せ、後半8分には粘り強いディフェンスで相手SBのカイル・ウォーカー・ピータースを抑えると、サポーターから「スーパー、トム(冨安)」のチャントが沸き起こった。日本代表DFは、攻守両面で3-0の完勝に大きく貢献した。
特筆すべき先制ゴールの“理想形”
特筆すべきは、アーセナルの先制ゴールだろう。
GKアーロン・ラムズデールからビルドアップを開始すると、ベン・ホワイト、トーマス・パーティー、冨安と次々にショートパスを展開。高い位置からプレスをかけたサウサンプトンの守備網を掻い潜り、足元へテンポ良くパスを紡いだ。
冨安がMFマルティン・ウーデゴールとのワンツーで右サイドを突破すると、攻撃はさらにスピードアップする。日本代表からパスを受けたFWブカヨ・サカがクロスボールを入れ、最後はFWアレクサンドル・ラカゼットがネットを揺らした。人もボールもよく動く、実に美しいゴールだった。
この先制点までの流れは、19年12月に発足したミケル・アルテタ政権の理想型と言っていいだろう。スペイン人指揮官が就任時に真っ先に着手したのが、最後尾からのビルドアップだったからだ。
相手が前線から執拗にプレスをかけてきても、アルテタ監督は後方からショートパスを繋ぐことにこだわった。就任当初は自陣ゴール近くでボールを奪われピンチになることもあったが、2年の時間が経過し精度もゆっくりと高まってきた印象だ。その成果が今回のゴールだろう。39歳の指揮官が「素晴らしい得点」と自画自賛した先制点は、間違いなくアルテタ政権のベストゴールのひとつだ。
規律違反オーバメヤンへの質問が集中
しかし、である。試合後の記者会見で質問が集中したのは、この流麗なゴールでも、3-0で快勝したことでもなかった。