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《香港4レース分析》日本勢が好走する可能性が“最も高い”のはどのレース? スプリントは現地有力馬不在でピクシーナイトに勝機か
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byAFLO
posted2021/12/11 06:00
今春のクイーンエリザベスII世カップを制したラヴズオンリーユー(右から2頭目)
日本GI未勝利馬でも、好成績を残してきた舞台
そもそも短距離戦が南半球馬の十八番で、2400メートル路線が欧州馬の庭なら、中距離戦は日本馬が最も実績を残している舞台。古くはシンガポール航空国際C(GI)を立て続けに制したコスモバルクとシャドウゲイト(06、07年)や16年のフランスでイスパーン賞(GI)を制したエイシンヒカリなど。日本でGIを勝っていない馬でも、海外で好成績を残してきたのが2000メートル前後の中距離戦。これは香港でも同様の事が言え、春のクイーンエリザベスII世カップ(GI、2000メートル、以下QEII)を12年のルーラーシップ、17年のネオリアリズム、19年のウインブライトが、香港カップでも16年のエイシンヒカリ、そして19年のウインブライトがやはり日本GI未勝利ながら見事に優勝している。
また、今春のQEIIでは4頭遠征した日本馬が3頭の地元勢に先着し上位4着までを独占したのは記憶に新しい。
話を香港カップに戻すと、他にもアグネスデジタル(01年)やモーリス(16年)、そして昨年のノームコアらも優勝しているが、この3頭はいずれも日本国内でもGIを制しているレベルにあったのだから、優勝して何らおかしくはなかったのである。
ラヴズオンリーユーは“かなりチャンス”
そんな日本馬が期待出来る距離に今年、出走するのがヒシイグアス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)、そしてラヴズオンリーユー(牝5歳、栗東・矢作芳人厩舎)とレイパパレ(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)の3頭だ。先述のデータに照らし合わせればラヴズオンリーユーとレイパパレは有力。とくにラヴズオンリーユーは春にはこの地でQEIIを制し、前走ではやはり中距離戦のブリーダーズCフィリー&メアターフ(GI)を日本馬として初めて優勝している。当然、ここもかなりチャンスと見て良いだろう。
そんなラヴズオンリーユーだが、馬券的な見地で言うと、あえてコラムでイチオシするのは気がひける。JRAのプールではただでさえ日本馬が売れる傾向にあるのに加え、今回はブリーダーズCを勝った直後の話題性、更にラストランという事もあり、相当、人気が被りそうだ。
ならば前哨戦の香港ジョッキークラブC(GII)組から穴馬を探すのも面白そう。同レースは先行決着だったので、2着のカーインスター(騙6歳)より追い上げて3着のグロリアスドラゴン(騙6歳)が妙味か。また、イギリスのチャンピオンS(GII)で勝ち馬とマッチレースを演じたドバイオナー(騙3歳)もどこまで出来るのか、期待したい。