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《香港4レース分析》日本勢が好走する可能性が“最も高い”のはどのレース? スプリントは現地有力馬不在でピクシーナイトに勝機か
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph byAFLO
posted2021/12/11 06:00
今春のクイーンエリザベスII世カップを制したラヴズオンリーユー(右から2頭目)
ブリーダーズCターフは欧州勢がワンツースリーフィニッシュ。ドバイシーマクラシックではクロノジェネシスとラヴズオンリーユーといった日本のトップクラスの馬達が、イギリスのミシュリフに差し切られた。凱旋門賞(GI)で日本馬が負けるたびに「馬場が合わない」という論評が出るが、馬場だけならむしろ日本向きと思えるドバイでも、この距離だとミシュリフだけでなく、16年にポストポンドに敗れたドゥラメンテや13年にセントニコラスアビーに負けたジェンティルドンナ(翌年、優勝したが)など、日本のエース級の馬が欧州勢にひねられている。
話が少々逸れるので詳細は記さないが、今年の凱旋門賞当日に同じパリロンシャン競馬場で行われたフォレ賞(GI、芝1400メートル)で日本のエントシャイデン(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)が3着に好走しているように、「凱旋門賞は馬場が日本馬に向かない」の一言で済ますのはおかしく、むしろ2400メートル戦は欧州勢が圧倒的に強いと考えた方が合点がいくのである。
一昨年の覇者グローリーヴェイズの可能性は
さて、そんな距離に挑戦する日本馬はグローリーヴェイズ(牡6歳、美浦・尾関知人厩舎)とステイフーリッシュ(牡6歳、栗東・矢作芳人厩舎)。先述した通り欧州馬が有利ではあるが、前者は一昨年の覇者であり、後者の父ステイゴールドは01年の優勝馬。とくに今年は香港スプリント同様、レーティング的には日本馬でも充分に通用する(グローリーヴェイズは120で2位)メンバー構成なので朗報が届いてもおかしくなさそうだ。
ちなみに欧州勢ではレーティングでグローリーヴェイズを上回る121を獲得しているイギリスのパイルドライヴァー(牡4歳)が有力だが、ディフェンディングチャンピオンのモーグル(牡4歳)も侮れない。同馬はアイルランドの伯楽A・オブライエン調教師の管理馬で、同厩舎はハイランドリールが15、17年にも優勝しているように近6年で3勝。モーグル自身は昨年ほどの勢いがないものの、勝利している舞台での復活があっても不思議ではないだろう。
(4)香港カップ “日本馬が輝く”中距離走の大舞台
最後にメインの香港カップ(GI、芝2000メートル)。99年にGIに昇格してから昨年まで計22回の優勝馬をこちらも地区別でみると……。
欧州8勝
香港8勝
日本5勝
南アフリカ1勝
この数字だけを見ると、欧州勢と香港勢の一騎討ちと思えるが、欧州馬の8勝はいずれも2010年以前の話。11年を境に傾向が大きく変わり、それ以降の10年間では香港馬が6勝で日本馬が4勝。近6年では昨年のノームコア、一昨年のウインブライトなど日本馬が4勝をあげている。