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フランス・フットボール通信BACK NUMBER
「実際、完成された選手になった」自信を隠そうとしない欧州屈指の司令塔・デブライネが明かす想像力の源泉
posted2021/12/07 17:02
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
L’Équipe
『フランス・フットボール』誌11月13日発売号では、ティモテ・ピノン記者によるケビン・デブライネのロングインタビューを巻頭に掲載している。バロンドール候補のひとりであり、実際に第8位にランクインしたデブライネは、言うまでもなく今日の世界屈指のゲームメイカーである。その創造力の根源はどこにあるのか。どんな考えのもとにプレーをしているのか。サッカーをどう捉えているのか。一風変わった入り方をしたインタビューで、デブライネが自身のすべてを語った。
前後2回に分けてお届けするまずはその前編から。(全2回の1回目/#2に続く・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
世界屈指の司令塔が思い描く最高プレー
インタビューのスタートからケビン・デブライネはシュートかパスかの選択をした。話題がその後どんな方向に進むのかもわからないままに、彼はコレクティブであることを選んだ。なぜならばデブライネは、言葉もプレーもあるがままであるからだ。簡明で、常に他人のために貢献している。
――どちらかの足を使って最も完ぺきなプレーを、目を閉じて想像しろと言われたらどんなプレーを思い浮かべますか?
「そうだなあ……、(しばし考えた後)ディフェンダーの間を通すアシストのパスかなあ……。どんな感じかわかるかな。ディフェンダーの背後を突いて、しかもGKが動き出せないようなボールだ。僕が右サイドのハーフスペースでボールを受ける。というのもそこならディフェンダーは僕をケアするために、自分のポジションを離れなければならないからね。そんなに難しいパスじゃない。ただディフェンダーにとっては、最も守りにくいパスだ。ボールを受けたストライカーは、ゴールに流し込むだけでいい」
――わかりました。ではパスについて語りましょう。あなたにとってはアシストが、心が最も震えるものでしょうか?
「子供のころは誰もがゴールをあげたがる(笑)。でも15歳になるころまでに、僕は自分がプレーの中心にいて、そこで相手にとって危険なプレーを仕掛けてゴールの起点になることに喜びを見出すようになった。その思いは次第に強くなっていった」
――どういうことですか?
「歳を重ねるにつれて、どんどんクリエイティブになっていった。最初のうちはどうなるかは運任せで、インスピレーションがすべてだった。だが、経験を積んでいくうちに、どんな種類のボールを送ればいいかわかるようになる。例えば(マンチェスター・)シティでは、僕はチームのやり方を完ぺきに理解し、自分がどうすべきかよくわかっている。どうすればアタッカーをうまくサポートできるかを。つまり僕はデビューしたてのころよりも、自分の仕事をずっとうまくこなしているわけだ」