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「次のマウンドは日本一に…」高津監督は現役時代《絶対大丈夫な守護神》だった ヤクルトvsオリ・近鉄・阪急の“日本シリーズ激闘史”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/11/28 11:03
第6戦終了後、オリックスの選手たちと健闘を称え合った高津監督。両チーム死力を尽くした日本シリーズを象徴するエンディングだった
対戦相手はこの年55本塁打を放ったタフィ・ローズ、46本塁打132打点の中村紀洋らが並ぶ近鉄だったが、唯一敗戦した第2戦(6-9)以外は全て2失点以下である。
ローズ・中村に続く5番打者・礒部公一をシリーズ無安打と完璧に抑え込むなど「いてまえ打線」を封じ、打者としても第3戦で2安打2打点などクリーンアップの一角として機能。自身2度目の日本シリーズMVPを獲得した。
プロ野球史全体で見ても史上最高クラスの捕手であることを証明したシリーズといっても過言ではないだろう。
高津が20年前の日本シリーズで誓ったこととは
<名言2>
次のマウンドは日本一になる時と決めていた。
(高津臣吾/Number535号 2001年11月1日発売)
◇解説◇
ヤクルトが日本一になった2001年、胴上げ投手は現監督の高津だった。強打の近鉄相手にヤクルト投手陣がどこまで抑えきれるかが焦点の1つだったが、選手会長だった高津は決して万全の状況ではなかったという。そんな中でシリーズ初の出番が巡ってきたのは、2勝1敗で迎えた第4戦のラストイニング、9回だった。
シチュエーションはリードしていながらも2-1の最少得点差。もし近鉄打線を目覚めさせて2勝2敗のタイに持ち込まれてしまえば……という状況だったが、伝家の宝刀シンカーを軸に無失点で切り抜けた。当時、高津は「古田さん、土橋(勝征)さん、真中(満)、宮本(慎也)も色々な部分に痛みがあった。早くシリーズを終わらせたかったし、神宮で決めたかったんです」と、意地で投げ切り、日本一への意欲を見せた。
そして翌第5戦も最終回を締め、見事日本一をつかみ取ったのだ。
なお、高津は現役時代に93、95、97、01年と計4回も胴上げ投手となっている。また日本シリーズ通算成績は、2勝8S、防御率0.00。2021年の合言葉を借りれば……「絶対大丈夫な守護神」だったのだ。
あれから20年――。高津は監督として日本シリーズの舞台に戻ってきた。
対戦相手はオリックス・バファローズ。全試合が2点差以内という日本シリーズ史に残る激闘となったが、第6戦では延長12回に代打の切り札・川端慎吾の勝ち越しタイムリーや守護神マクガフの2回1/3のイニングまたぎなど采配がことごとく的中。4勝2敗で制し、ヤクルトを20年ぶり6回目の日本一に導いた。
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