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「次のマウンドは日本一に…」高津監督は現役時代《絶対大丈夫な守護神》だった ヤクルトvsオリ・近鉄・阪急の“日本シリーズ激闘史”
posted2021/11/28 11:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Hideki Sugiyama
<名言1>
ファウルだ!
(上田利治/NumberWeb 2021年10月31日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/850448
◇解説◇
ヤクルトとオリックス・阪急・近鉄が相まみえる日本シリーズは何かと名勝負・語り継がれるシーンが多い。昭和の時代で代表格となったのは1978年のヤクルトvs阪急だ。
70年代の阪急は黄金時代を迎えており、この年リーグ4連覇を達成。実績に優れる阪急優位とされていた。しかしシリーズが始まってみると第5戦で先に王手をかけたのはヤクルトで、第6戦の後楽園球場で阪急が3勝3敗のタイに追いつくという、2021年のシリーズ同様の大接戦となった。
事件が起こったのは、雌雄を決する後楽園球場での第7戦でのことだった。
1-0でヤクルトリードで迎えた6回裏1死の場面、ヤクルトの主砲・大杉勝男の放ったレフトポール際の打球がホームランと判定される。しかしレフトを守る蓑田浩二がファウルだと主張。そこから上田監督の猛抗議が始まると、選手をベンチに引きあげさせたり線審の交代を求め、事態の収拾に金子鋭コミッショナーがグラウンドに現れることになるなど、シリーズ史上最長となる1時間19分の中断時間となる異例の事態となった。
上田監督の抗議は実らず、大杉のホームランは認められ、なおかつ8回には大杉がこの日2本目、シリーズ4本目の本塁打を放つなど、阪急を突き放す。そのまま4-0でヤクルトが球団初の日本一を手にした。阪急と上田監督としてみれば、現代では当たり前になったビデオ判定があれば……というところだが、それが勝負の分け前となったのだ。
なおこの第7戦の平均視聴率は日本シリーズ史上最高の45.6%をたたき出したという。もしかすると、両チームが当たる日本シリーズでは何かが起こる……というきっかけを作ったのかもしれない。