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JリーグPRESSBACK NUMBER
「強いチームだ」ジーコにホメられた《J1連覇》フロンターレ鬼木達監督が語る“移籍やケガ人続出”でも「チームが崩れなかった」ワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/11/26 11:03
ピッチサイドから指示を出す鬼木監督。監督として4度目の優勝はJ1歴代最多となる
「明らかに体が動いていない、頭も動いていない。アンテナが低いっていうんですかね。これはマズいなと思いながら見ていました」
しかしピッチの今の現象を起こしているのは自分だと考えると、ネクストプランを提示してあげればいいだけ。4-4-2を後半スタートからいつもの4-3-3に切り替え、ハーフタイムに3枚の交代カードを使った。
「疲れている状況であっても、少しでも選手がスムーズに動けるというか、体が勝手に動くようなやり方でいこう、と」
後半、サイドバックからインサイドハーフに回した旗手怜央が同点ゴールを奪い、その一方で足をつりかけながらも交代させずにトップに置いていた知念慶が、これまたアディショナルタイムで勝ち越しゴールを挙げる。
交代策は誰を入れるかだけの話ではない。誰を残すか、も大事だ。
いつになく強い口調で選手たちに語り掛けた
センターバックに入っていた山村の負傷具合が心配されたが、大丈夫だろうと判断した。そうなれば知念のところにエースのレアンドロ・ダミアンを投入して勝ち越しを狙っていく手も当然あった。だが鬼木はそうしなかった。
「あの試合、結構カウンターを食らっていて、僕のなかではハーフコートに閉じ込めておきたかった。ヤマの状態を考えると、ジェジエウのスピードとパワーで相手に挽回のチャンスを与えたくなかった。彼が入ってからもカウンターはあったんですけど、そういうものを減らすことで攻撃に注力させたい、と。それともう一つの理由は、知念の状態が良かった。信じて使い切ってもいいんじゃないかなという思いが僕のなかにありました」
早く動くときもあれば、粘って極力動かないときもある。
試合は生き物だ。相手を見ながら、自分たちを見ながら、これだと思って決断したら信じて迷いなく突き進む。そのメッセージが伝わるから、選手たちも指揮官の意図を汲んでプレーすることができる。
マルシーニョ、山村、宮城、知念……そしてアンカーに定着していくルーキーの橘田健人と前半戦には目立たなかったプレーヤーが存在感を発揮していくようになる。
続く中2日で臨んだヴィッセル神戸戦も先制点を許しながら、後半は圧倒して3点を奪って勝ち点3を手にしている。
ハーフタイムでは、いつになく強い口調で選手たちに語り掛けたという。