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「サッカー選手のイメージは、正直なところ…」宇賀神友弥が“浦和退団発表前”に語った社会貢献とは《女性サッカー選手をサポート》
posted2021/11/26 17:00
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
aim/Getty Images
浦和レッズ一筋12年。アカデミー時代をあわせれば18年間を過ごしたクラブを今シーズン限りで契約満了となり、離れることになった。
発表後のオンライン取材では、浦和レッズで競技人生を終えたいという気持ちがあった反面、出場機会が減るなかで、プロサッカー選手として他のチームに行くべきか、クラブに残って引退するべきか、ここ数カ月間悩んでいたという。そんなとき契約満了を告げられ、悔しい反面、どこか少しすっきりした自分がいることにも気づいた。だからこそ、前を向く。
「これまで浦和レッズしか見てこなかったので、また違う視点で浦和レッズを見て、いつかまた戻ってきたい。今はまた新たな道に進めるというワクワクした気持ちです」
池田、塩越、遠藤の3選手をマネジメント
9月末、プロサッカー選手の宇賀神友弥(所属:浦和レッズ)が女性アスリート支援プロジェクト「aim(エイム)」を立ち上げ、WEリーグの三菱重工浦和レッズレディースに所属している池田咲紀子、塩越柚歩、遠藤優の3選手のマネジメントを行うことを発表した。
英語で“狙いを定める”という意味を持つ「aim」は、女性アスリートの社会的地位の向上、スポーツによる地域、社会貢献活動を行うことで、子どもたちの夢や目標となるトップアスリート像をつくるサポートを目的にし、活動をスタートさせた。
近年、本田圭佑らのようにサッカー選手としてプレーする傍ら、経営者や投資家など本業以外の活動を精力的に行う選手は増えてきている。ただ、2010年の加入以来、主力としてレッズを支え、日本代表の経験も持つ宇賀神のような現役選手が、同じ現役アスリートをマネジメントするのは極めて異例のことだ。
「同じアスリートだからこそ分かり合える部分が」
彼が女性アスリートのサポートをするのには理由がある。
「男性と女性という違いはありますが、同じアスリートだからこそ分かり合える部分もあると思います。今後は色々なメディアに露出していくことやセルフプロデュースすることの大切さ、アスリートとして生きていく経験を、何かしら伝えていけるんじゃないかなと思っています」
女子プロサッカー選手のサポートを行いたい――。
そう考えるようになったのは、女子サッカーの選手たちが置かれている厳しい環境を目の当たりにしたことが大きかったという。2019年の年始、なでしこジャパンの菅澤優衣香や上尾野辺めぐみらとフットサルで交流したとき、彼女たちの口から女子サッカー選手の現状を知り、愕然とした。
「一緒にフットサルをしたんですが、2人とも本当にサッカーがうまくてしかも強い。一緒にプレーしてみて女子選手のすごさを体感しました。ただ、そんなすごい選手なのに、当時は仕事と両立をしながらサッカーをしていると話していて、試合に出場して勝利しても勝利給がもらえるわけではない、と。イベントなどでレッズレディースの選手と話をして何となく聞いていた話もあったけれど、あらためて彼女たちはとても厳しい環境に置かれているんだということを知りました。
そのときに何かしなければいけない、何かできることがあるんじゃないかと強く思ったんです。以来、環境面をより改善したり、女子アスリートの価値を高めるようなサポートを実現させたいと考えるようになりました」