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「強いチームだ」ジーコにホメられた《J1連覇》フロンターレ鬼木達監督が語る“移籍やケガ人続出”でも「チームが崩れなかった」ワケ
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byGetty Images
posted2021/11/26 11:03
ピッチサイドから指示を出す鬼木監督。監督として4度目の優勝はJ1歴代最多となる
タフなアントラーズの消耗を呼び込んだ
「あの試合はほぼほぼアントラーズの試合だったとは思うんです。でもスコアは0-1。一つ返せば(展開も)変わる。いろいろと手を打ってみて、少しずつ流れがこちらに来そうだな、と。あのFKのところは、絶対にヤマを入れたいと思っていました。ゴールはヤスとヤマのおかげ。最後に天がゴールを獲ってくれましたけど、それまでのプレーはほぼほぼミス。周りからはあのゴール、凄かったですねと言ってもらいましたけど、全然ダメじゃないかって言われても仕方がないくらい。天のメンタルは凄かったと思います」
ただ終盤のフロンターレこそが真の姿と見る向きは違う。これまでと形を変えて2ボランチでスタートしたことを含め、タフなアントラーズの消耗を呼び込んだからだ。
「アントラーズと戦うときはどうしても局地戦になります。ここで負けていたら話になりません。最初のメンバーが頑張ってくれなかったら、後で出てくるメンバーも活躍できていなかった。そういう意味ではトータルで考えなきゃいけないと思っています」
ジーコ「こういう勝ち方ができるのが、強いチームだ」
鬼木は現役時代、市立船橋高からJ開幕年の1993年にアントラーズに入団し、計6シーズンプレーしている。ジーコとも一緒にプレーし、多くのことを学ばせてもらった。アントラーズでTDを務めるそのジーコから帰る間際に呼び止められた。ルヴァンカップ、ACLの戦いを労われた後、賛辞を贈られた。
「こういう勝ち方ができるのが、強いチームだ」
ただただうれしかった。あのジーコが「強いチーム」と言ってくれたことが。あのジーコから認められたことが。
エネルギーを要する逆転勝利は、疲労の蓄積を伴う。
4カ月ぶりにホームの等々力競技場に戻ってきた9月26日の湘南ベルマーレ戦は、前半15分に先制点を許してしまう。鬼木はベンチ前で苦い表情を浮かべていた。