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バルサには“疲労回復用のピザ”が…選手寿命を伸ばしパフォーマンスを最大化するフットボーラーのための《最高の食事》とは
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/11/23 17:00
『フランス・フットボール』誌面は、フランスの雑誌らしくエスプリの効いたイラストの数々で「サッカー選手と食事」を表現した
「マンチェスター・シティで提供される料理は最高級だ。というのもサッカー選手は、いつでも好きなところで食事ができる。その気になれば、高級レストランで毎日食べることもできる。だからトレーニングセンターの食事も、彼らの意欲を維持するためにそれなりのクオリティがなければならない」とイアン・ロロは解説する。
焦点は、どれだけの量をどんなタイミングで提供するかである。ロロが続ける。
「適量の糖質とタンパク質、脂質に加え、すべての必要な栄養素をバランスよく摂取できるようにしている」
食事の回数は問題ではない。
「空腹を感じたら食べる。ただタンパク質の量は十分にコントロールする必要がある。私が推奨するのは3時間ごとにバランスよく食べることだ」とファンホセ・モリラスは語る。
試合へのアプローチはこれとは異なる。糖質中心の食事を、試合の3~4時間前に摂るのが望ましい。
「そうすれば筋肉にエネルギーを貯めることができる。そのルーティーンを数日前から始め、試合当日はビタミンやミネラルを目一杯摂ることはない」とカミーユ・ランボーは言う。
次に問題になるのが家庭での食事である。家での食事コントロールがなければ、練習場や試合の移動中にいかに厳格にコントロールをしても、すべてが無駄になってしまう。近年では自宅に専用のシェフを雇い入れる選手が増えている。栄養士が献立表を送る、出来あがった料理をケイタリングするなどの方法もあるとはいえ、専属シェフは食事に関するコミュニケーションのひとつの理想的な在り方といえる。
ただし留意すべきは、若手選手の場合、両親と同居しているか一人暮らしなのかである。いずれにせよレシピや料理はクラブから届けられる。またアカデミーや育成センターでは、一回の食事に数ユーロしかかけられない選手もいる。その場合は栄養士が解決策を見出さねばならない。
ネイマールは鴨のコンフィ、ムバッペはフレンチトースト
むやみに禁止すればやる気を削がれる。食事のコントロールは選手のやる気を削ぐのが目的ではない。リチャード・アリソンは語る。
「彼らの好みを尊重し、欠点を考慮して精神的な回復を図る。シーズンは長い。怪我をすることもあれば疲労もたまる」
好みは選手により異なる。ネイマールは鴨のコンフィが好きで、キリアン・ムバッペはティラミスとフレンチトーストに目がない。ケビン・デブライネはスパゲッティカルボナーラである。
「ピエール・エメリク・オーバメヤンは母親が作るカレーが大好きで、ときどきホテルにも持参する」とリチャード・アリソンは言う。
「鶏肉と野菜と米を毎日食べても満足ならば何の問題もない。だが多くの選手はそれだと飽きる。もっとバラエティーが必要だ」
それぞれの習慣や好みに対応する必要がある。文化は看過できない要素である。
「アフリカ系フランス人とチリ人の好みは同じではない」とファンホセ・モリラスは言う。
「ブラジル人はバーベキューが大好きだ。故郷を思い起こさせる料理を何かひとつ添えるべきだ」
そうしたことを踏まえて、南米選手の食卓にはしばしば赤い肉が提供される。
「最近はアジア人選手も増えた。彼らの食文化を理解しないと、満足な食事を提供できなくなる」とイアン・ロロは述べている。