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バルサには“疲労回復用のピザ”が…選手寿命を伸ばしパフォーマンスを最大化するフットボーラーのための《最高の食事》とは
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/11/23 17:00
『フランス・フットボール』誌面は、フランスの雑誌らしくエスプリの効いたイラストの数々で「サッカー選手と食事」を表現した
「選手が何を感じているか、特定の何かを改善したいという意志、さらには彼らが抱える炎症や痛み、負傷、消化機能障害、肥満といったさまざまな問題を考慮して関係は築かれる」と、2016年リオ五輪のセーリング女子470級で銅メダルを獲得し、2017~20年にオリンピック・マルセイユの栄養士を務めたエレーヌ・ドゥフランスは述べている。
適切な食事を摂り続けるのは、プロのスポーツ選手にとっては不断の戦いである。教育やメソドロジー、対話などなどによって、目的にかなった食物の効能を絶え間なく彼らに伝え続けねばならない。
「1日25時間、週8日間の仕事だ。彼らを説得するのが最も難しい」とリチャード・アリソンは語る。あくまで目的は(特定の食物の)禁止ではなく知識の伝達である。
「バランスを探りながら対話を続ける。すべてを一度に変えることはできないのだから」と、2018年以来リールで栄養士を務めるカミーユ・ランボーは述べている。
「当初、栄養士は《選手たちが何を食べているかを監視する憲兵》とみなされていた。だが、私の場合はそうではなかった」
目的は、選手が好まない食事療法を彼らに押し付けることではない。
「彼らにダイエットを強いるのではなく、体質を調整することであり、練習場や移動先のホテル、家での食事メニューのバランスをとることだ」と、2016年にリーグアン初のクラブ専属(フルタイム)栄養士としてモナコに就任したファンホセ・モリラスは言う。
食生活を変えるための根気強い対話
「当初、ある選手はパスタと鶏肉しか食べないと私に言った。今では彼は、キヌアや黒米、ひよこ豆の入ったサラダを食べている。根気よく対話を続けることがすべてだ。彼らが僕の言葉を信じるようになるまでに多くの時間がかかった。どんな風に話せばいいか今は分かっている。『リンゴを食べたほうがいい』と言えば、彼らはそれに従う」
こうした個別化は、選手がメタボリズムに対してそれぞれ最適に対応するためのものである。イアン・ロロが続ける。
「バルセロナではプレシーズンが始まるときに、異なるインテンシティのセッションを課して、発汗作用を伴うメタボリックのさまざまなテストをおこなう。その結果を踏まえ、選手に的確なアドバイスを与えている」
一方、モナコでは、パフォーマンスに関する重要な部門を設置した。パフォーマンスディレクターのジェームス・バンスが医療とスポーツ科学、心理学とフィジカルパフォーマンス、栄養をひとつのセクターに統合したのだった。
「トレーニングの際に、それぞれの選手のエネルギー消費を記録している。そのデータをもとに糖質を補給することで、一日に必要なプロテインを十分に補給できるようにする。それをピリオディゼイションと呼んでいる」とファンホセ・モリラスは述べている。