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「賞金の65%は国に」「国家行事でウィンブルドン辞退」の過去も…意外と知らない“中国テニス界の闇”《トップ選手が行方不明?》 

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山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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posted2021/11/23 11:05

「賞金の65%は国に」「国家行事でウィンブルドン辞退」の過去も…意外と知らない“中国テニス界の闇”《トップ選手が行方不明?》<Number Web> photograph by Getty Images

中国共産党の大物からの性的暴行をSNSで告発した中国のトップ選手・彭帥。その後、投稿は削除され「音信不通」であることが報じられた

「ある会社と契約をしたけれど、結局私はお金を一度ももらえなかった。そういう場合、どうすればいいの? 会社を相手取って裁判を起こすの? そんなことできっこないでしょう」

 そして、「中国のシステムは欧米のように進んでいない。ここから一歩ずつ変えていくのだという意識をまず持つことが、中国テニスのプロ化には欠かせないと思う。そしてそれには大きな勇気が必要」と説いた。

“中国ナンバーワン”という重圧に苦しんできた

 いま中国には62位の張帥(ジャン・シュアイ)を筆頭に100位内に3人がいて、ダブルスも張帥が8位でトップだが、一時期の勢いはもうない。

 李娜は全豪オープンでキャリア2度目のグランドスラム優勝を果たした2014年の9月に電撃的に引退し、鄭潔も晏紫も、正式に引退を表明したかどうかは別としてもうプレーしていない。彭帥だけが戦い続けたが、偉大すぎる李娜との比較に戸惑い、中国のナンバーワンという重圧を押し付けられることに抗い、ときに怒り、怪我に苦しんできた年月だったように見える。

 2014年以降はシーズン末ランキングを見るだけでも、22位、136位、109位、27位、298位、75位、117位と乱高下。2015年の不振は背中のケガでシーズンの半分を失ったためだが、2017年の復活のあと再び300位近くまで落ちているのは、ケガのせいではない。2017年のウィンブルドンでダブルス・パートナーに対して金銭的な見返りを持ちかけて棄権を強要したことが発覚し、6カ月の出場停止(執行猶予3カ月)の処分を食らったためだ。本人はこの不正を否定したが、処分は確定した。

 その事件もまた彭帥のキャリアに暗い影を落としたが、ソーシャルメディアで復活を誓った通り、2018年11月にWTAの下部大会で復帰していきなり優勝。翌年には65位まで戻し、ダブルスでは2つのツアータイトルを獲得した。しかしこのパンデミックにより昨年の3月から約5カ月間ツアーは中断され、昨年8月に再開されたが、彭帥はツアーに一度も戻っていなかった。

WTAは中国市場からの撤退も示唆

 そこからいったいどうしたらこうなるのか、どんなに想像力をたくましくしても真相には近づくことすらできそうもない。そんな中、WTAの中国市場からの撤退示唆とか、北京五輪のボイコットとか、何かが弾けたように、得体のしれない思惑が不気味に蠢き出している。

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