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「『仲良しチーム』になっちゃダメ」ホークス松田宣浩がベンチで感じた“違和感”…藤本新政権の来季は「悪あがきしたっていいでしょ!」

posted2021/11/24 11:03

 
「『仲良しチーム』になっちゃダメ」ホークス松田宣浩がベンチで感じた“違和感”…藤本新政権の来季は「悪あがきしたっていいでしょ!」<Number Web> photograph by Ichisei Hiramatsu

今年38歳を迎えたソフトバンク松田宣浩に、藤本博史新監督のもと“復権”を期す来季の意気込みを語ってもらった

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Ichisei Hiramatsu

引き続き、ソフトバンク・松田宣浩のインタビューをお楽しみください。(全2回の後編/前編へ

 松田宣浩がアーチを描くと、必ずファンが陣取るスタンドに向かって右腕を振り上げる。

「アッツォ~!」

 雄叫びと歓声が融合する。ソフトバンクのチームカラーの黄色いメガホンが揺れる。

 2015年のスローガンだった『熱男(あつお)』を初めてセレブレーションに採用したのは、同年4月29日の日本ハム戦で中村勝から記録したシーズン5本目からだった。スローガンが『1(ワン)ダホー!』に変わった17年こそ、第1号のみその掛け声を披露したが、「やっぱり熱くならないと」と熱男に戻し、今日に至る。

 熱く、元気に。亜細亜大時代から貫くスタイルで、通算301本のうち半分以上の170本もの“熱男”を積み重ねてきた。もちろん本塁打が全てではないが、松田の情熱を象徴するのはやはり豪快な一発なのである。

ベンチで覚えた”違和感”の正体

 ソフトバンクの熱血男はしかし、今季は14本の熱男しか刻めなかった。143試合のうち115試合に出場できたもののベンチスタートも珍しくなく、情けなさを思い知った。

 そんな日は必ずといっていいほど、ベンチで違和感を覚えていた。スタメンではない自分の立ち位置もあるが、それ以外の何か――そう、チームの雰囲気だと、松田は察知した。

「僕が外されたからそう見えたのかもしれんけど、ぬるかったですよ。試合に出てる若い選手なんか見てても、嬉しそうにプレーしてないもんね。もっとこう、『打ったろ!』とか『活躍して稼いだろ!』とか。チームの将来を考えれば、若手が出るのはいいことなんですよ。その日に試合があって、メンバーに選ばれたから野球をしているだけじゃないか? だとしたら間違ってるよなって思う」

 松田が求めているのはガツガツ感だ。「飢え」と表現してもいい。

 チームと自身がどれだけ結果を残していたとしても、「まだやれる。自分が一番貢献する」と、貪欲さをプレーで体現する。

 松田が初めて「熱男」を披露し、キャリアハイの成績を収めた15年がそうだった。野手で言えば、捕手の細川亨と鶴岡慎也がしのぎを削り、内川聖一など実績十分の中堅選手がいた。そこに柳田悠岐や中村晃、今宮健太と、今もチームの屋台骨を支える選手が追随する。控えには、盗塁王2度の本多雄一、13年の首位打者・長谷川勇也はじめ吉村裕基、福田秀平とスペシャリストがおり、ユーティリティプレーヤーの川島慶三、明石健志ら、自分の持ち味を生かした選手たちが主力の座を虎視眈々と狙っていた。

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