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野球クロスロードBACK NUMBER
「『仲良しチーム』になっちゃダメ」ホークス松田宣浩がベンチで感じた“違和感”…藤本新政権の来季は「悪あがきしたっていいでしょ!」
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2021/11/24 11:03
今年38歳を迎えたソフトバンク松田宣浩に、藤本博史新監督のもと“復権”を期す来季の意気込みを語ってもらった
11年からソフトバンクのコーチとなり、一軍の打撃コーチを計4年。二軍打撃コーチ、三軍監督、二軍監督と、全てのカテゴリーに携わってきた。柳田の才能を開花させ、最近ではリチャードら若手の育成に尽力した。一軍コーチ時代に指導を受けた松田も、「口で教えるより、我慢強く、選手と一緒に作り上げていく指導者」と信頼を寄せる。
「Bクラスの次の年だから大変やと思います。優勝したチームを受け継ぐこともプレッシャーだけど、負けたところから上げていくエネルギーもすごく要るでしょうしね」
新監督の藤本は、周囲が若手の起用などチームの変革を求めていることを認めながら、中堅、ベテランの重要性も説き奮起を促す。
松田はそこを意気に感じている。藤本と同じ、いや、それ以上のエネルギーを充分に蓄え、放出する。そう来季への誓いを打ち出す。
来季は「出られるならどこでも出たい」
まず、今年までベンチの最前列に立って盛り上げてきた試合前の声出しには、率先して参加することはおそらくないという。
「後ろから見守ろうかなって。できれば、『松田さん、僕らで声出しやりますんで、任せてください!』って買って出てくれる若手が現れてほしいですけどね」
そしてもうひとつ。サードへのこだわりを捨てることだ。
これまで「松田はサードに固執している」と囁かれてきたし、実際にそういった節もあった。それが今季、ロッテの有藤通世が残した、サードで1774試合出場のパ・リーグ記録を更新したことで未練を断ち切れた。
「出られるならどこでも出たいです。外野は練習で試したけど無理そうやし、サード以外だとファーストぐらいしかできないと思うけど、ちゃんと練習はしてますから。今までと違う景色のポジションを守ることで、新しい角度から野球が見られるかもしれないしね」
「もうそろそろ、悪あがきしたっていいでしょ!」
実績は積んだ。チームへの影響力もある。そんな「ソフトバンクの顔」は、野手最年長の39歳になる来季への覚悟を決めている。
悪あがき。
松田はそう言って、言葉に魂を吹き込む。