シリーズの流れは大きくツバメに傾いた？ ヤクルト石山泰稚の“カギを握る仕事”とオリックスが失った“ジョーカー”とは

　最後の力を振り絞ってマウンドを守り切った。

　5対4。ヤクルトが1点をリードして迎えた9回のオリックスの攻撃。一塁ベンチからゆっくり出てきた高津監督がアンパイアに投手交代を告げる。

「ピッチャー、マクガフ！」

　第1戦。2点のリードで勝利を目前にしながら1死も取れずにオリックス打線の餌食となったクローザーのスコット・マクガフ投手だ。わずか3日前の悪夢。しかしこのマクガフの復活なくして、ヤクルトの日本一はないというのは指揮官ばかりか、チームの誰もが知っているはずだ。

9回のマウンドに上がるマクガフ　@Naoya Sanuki

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守護神の投球はまたも冷や汗の連続だった

　シリーズの命運を託して送り出した舞台。しかし守護神の投球はまたも冷や汗の連続だった。

　先頭の若月健矢捕手に151kmの真っ直ぐを中前に弾き返される。送りバントと内野ゴロで三塁まで走者が進み、打席に3番・吉田正尚外野手を迎えると、伊藤智仁投手コーチがマウンドに走った。マクガフの意向を確認して下した決断は、初戦でサヨナラ打を浴びた吉田を歩かせて、この日2ランを放っている4番の杉本裕太郎外野手との勝負だった。

マクガフに声をかける村上　©️Naoya Sanuki

　初球は真っ直ぐで1ストライク。2球目は渾身のインコースのストレートだった。詰まった打球が一塁へのゴロとなって、勝負が二転三転した激闘のシリーズ第3戦はヤクルトに軍配が上がった。

「初戦にやられていることは頭の中から離れることは絶対にないと思う。ただ、こうやってまた勝利に導く投球をしてくれて明日も頼むぞという感じになれた」

　試合後のヤクルト・高津監督はこうマクガフの投球を評したが、その守護神復活のお膳立てをして、苦しい展開の中で試合の流れを引き込んだもう1人の投手の存在も忘れてはならないだろう。

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