- #1
- #2
野球クロスロードBACK NUMBER
ソフトバンク松田宣浩(38歳)が語る“王者失墜”の原因「そこは結構、大きいところでしょ」「山本由伸クラスは技術だけじゃ打てんすよ」
posted2021/11/24 11:02
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Ichisei Hiramatsu
ソフトバンクの2021年“最後の日”、松田宣浩は出番なく試合を終えた。
10日23日。
シーズン残り3試合に全勝すれば、クライマックスシリーズ進出への望みを繋げる状況下で、ソフトバンクは3位の楽天との直接対決に敗れ、8年ぶりのBクラスとなる4位が決定した。昨年まで、1965年から73年にかけて「V9」を成し遂げた巨人に次ぐ4年連続日本一。王座に君臨してきたソフトバンクにとって、それは王朝の陥落を意味していた。
今年は4位やったのか――。
悔しさは当然ある。だが、敗北の瞬間、松田に去来したのは、潔さにも似た感情だった。
「ずっと勝っていたから恵まれていたけど、反面、今年のホークスみたいに負けたチームが5チームあったことに気づかされた。『負けるとこういう想いをするんだ』って」
常勝軍団の失墜。原因を問う声が飛び交う。
絶対的なセットアッパーであるリバン・モイネロ、主軸のジュリスベル・グラシアルとアルフレド・デスパイネのキューバ勢の離脱。昨年の盗塁王、周東佑京に守護神・森唯斗の故障も響いた。中村晃や今宮健太ら実績のあるレギュラーの不振も大きかったし、チームとしても1点差ゲームで8勝19敗と大きく負け越したことも痛かった。
今季の敗因は「僕が打てなかったからです」
浮き彫りとなった数ある敗因に対し、松田がかぶりを振る。それらを一切合切、否定するように、はっきりと言い切った。
「僕が打てなかったからです。しっかり1年間、働けなかったことでしょ。そこは結構、大きいところでしょ」
115試合の出場で打率2割3分4厘、14本塁打、47打点。116試合で2割2分8厘、13本塁打、46打点だった昨季もそうだったが、主力となってからキャリアワーストに近い成績でもあったし、「自分の成績に伴ってチームの順位も悪かったんじゃないかって」と、自責の念に駆られるのも無理はない。
16年目の38歳。「ベテラン」と呼ばれる立場まで達すると、否応なく「成績が落ちる=衰え」と捉えられがちだ。
それでも、松田は決して屈しない。
根拠はある。