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菊池雄星、大谷翔平、佐々木朗希…なぜ岩手から“野球界の怪物選手”は生まれるのか? 現地取材で導く「3つの理由」
posted2021/11/19 17:03
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Getty Images/Nanae Suzuki/JIJI PRESS
「この球場では偉大な先輩たちもプレーし、日本のみならず、世界の舞台で活躍しています。君たちも次の世代を背負い、岩手の代表にふさわしい選手になってほしいと思っています。そして野球を続けてほしい、そう願っています」
10月下旬、岩手県の花巻球場で行われたKボール東北大会の閉会式でリーグ会長がこう野球少年たちに呼びかけた。
菊池、大谷、佐々木朗「どうして突然、岩手から?」
岩手から出た超高校級と呼ばれた選手たちもまた、この球場でプレーし、日本、そして世界を沸かせている。
高校時代に155kmをマークした菊池雄星、160kmの大谷翔平だけではない。2019年には佐々木朗希が163kmを投げるなど、昨今、岩手から定期的に超高校級選手が生まれている。
「どうして突然、岩手から?」
そんな疑問を持っている人は多いのではないだろうか。
食べ物なのか、何か法則があるのか、はたまた突然変異なのか。何が起こっているんだろう。岩手出身の筆者もその疑問を持ち続けていた。
理由1)野球関係者「菊池時代で指導者の意識が変わった」
岩手の指導者、野球に精通している方々に尋ねると、皆、こう口を揃えて教えてくれた。
「指導者のレベル、意識が変わった」
高校野球、Kボール、リトルリーグ、シニアなどの試合、練習を見学する機会があったが、言葉通り、勉強熱心な指導者が多く、選手のプレーのレベルがとても高かった。特に高校は花巻東、盛岡大附属などの私学はもちろんだが、公立高校の指導者も限られた環境のなかで工夫して指導していることが窺えた。またKボールの東北大会の試合は、僅差の締まった試合が多く、驚かされた。
岩手の野球に精通しているAさんは岩手の野球が変わった潮目をこう説明する。