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量より質の練習で狙うキャリアハイ…ベイスターズが全員参加の秋季トレーニングを「キャンプ」と呼ばない理由とは 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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posted2021/11/15 11:01

量より質の練習で狙うキャリアハイ…ベイスターズが全員参加の秋季トレーニングを「キャンプ」と呼ばない理由とは<Number Web> photograph by YDB

2019年に完成した「DOCK OF BAYSTARS YOKOSUKA」の室内練習場で基礎トレーニングに励む選手たち

「プロ野球選手である以上、毎年キャリアハイを目指さなければいけません。そこでシーズンが終わったら自由でいいよ、というのは球団としても無責任ですし、さらにいい成績を目指すにはどうしたらいいのか一緒に考えなければならない。もちろんリカバリーもメニューに入っていますし、ここは全選手、足並みを揃えて行こうとなりました」

 また特徴として挙げられるのが、一軍の三浦大輔監督と青山道雄ヘッドコーチ、ファームの仁志敏久監督、万永貴司総合コーチは練習メニューの作成にタッチしていないことだ。

「コーチ陣の主体性を尊重しようということで、監督たちにはサポートや新任コーチとのコミュニケーション、また状況を見ながら来季のキャンプにどのように入っていくのか議論していただくことで快く了承していただきました。ですから投手は木塚敦志コーチ、野手は鶴岡一成コーチをリーダーとし、練習メニューの作成や指導にあたってもらっています」

キーワードは「AT」と「R&D」

 この時期だからこそできるアプローチ。秋季トレーニングで大きなカギを握っているのは、フィジカル面を担当するアスレティック・トレーナー(AT)と最新機器でデータを解析し能力向上に繋げるチーム戦略部R&D(Research & Development=研究開発)グループだという。

「選手の指導というのはどうしてもコーチが中心になってしまうものですが、うちのATとR&Dは球界でも誇れる部門だと認識しています。コーチも含めた3部門が意見を出し合ってメニューを作っています。例えば三浦監督から投手陣へアウトローの制球の精度を高めて欲しいというリクエストがあるのですが、これまでの練習であれば、ひたすらアウトローへ投げ込むだけでした。しかし3部門が足並みを揃えて分析をすれば、例えばあるピッチャーがアウトローを正確に投げ込むためには、特定の筋力が足りないことやメカニズムの問題点、またどのような指先の感覚が必要になってくるのか明白になります」

 年間を通じATが計測してきたデータや、ゲームにおけるプレーなどを参考に、この3部門が協議することで選手個々の長所や弱点が浮き彫りとなり練習メニューは作成される。

 選手名を伏せたカルテを見せてもらったのだが、そこにはコーチやAT、R&Dから出された課題や問題点が走攻守すべてにおいて記されていた。客観的な指数はもちろん、スタッツ、コーチから見た感覚的な意見まで。大事なのは指導やトレーニングにブレが出ないよう、この選手は今なにに取り組んでいるのかを可視化し、コーチやスタッフが共有することである。

【次ページ】 選手たちの確かな実感

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