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《日本と初のテストマッチ》強化トップに聞く「ポルトガルラグビー」のスタイルとは…軽量級、展開&ランニングで“カオス”を作り出す?
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byAFP/AFLO
posted2021/11/12 11:01
6日のアイルランド戦では悔しい結果に終わった日本代表。次戦ポルトガルには世界ランキングこそ上回るが、W杯を目指して強化が進む侮れない相手だ
そもそも、なぜ今回の欧州遠征で日本代表との試合がマッチメイクされたのか?
コロナ禍が本格的に世界を襲った昨年、ポルトガル代表はフィジー代表との試合が組まれていた。だが、ご存知の通り世界はスポーツどころではない状態となった。そこで、ポルトガルラグビー協会は、ランキング上でもフィジーと近い位置にいる日本代表とこの秋に試合をしたいと、ワールドラグビーにアプローチをかけた。
アイルランド、スコットランド代表と対戦する欧州遠征を行う日本にとって、日程的に欧州でもう1試合組むことは可能。さらにアイルランド、スコットランドという強敵を相手にする欧州遠征で白星を狙える機会になるだけでなく、初キャップ組や新戦力にとっても重要なテストマッチの場となる。こうした背景が一致したことで、マッチメイク実現に至ったようだ。
「走り回り、ラグビーを楽しむ」
現在、ポルトガルラグビー協会のハイパフォーマンス・ダイレクターを務める、フェデリコ・ソウザ氏は、ポルトガル代表のCTBとして07年大会に出場するなど、47キャップを獲得している。7人制ラグビーでもワールドシリーズに出場しており、ポルトガルラグビーを選手として支えてきた人物である。
「ボールを展開し、走り回り、ラグビーを楽しむというのがポルトガルラグビーのスタイルです。これは、私が選手だった頃も、今のチームも変わりません」
選手時代は国内のクラブでアマチュア選手としてプレーしていたソウザ氏の本業は、学校の先生だった。1995年にプロ化を迎えたラグビー界で、07年W杯にアマチュア選手を中心としたポルトガル代表が出場したこと自体、大きな快挙だった。チームには何人かフランスのプロクラブでプレーする選手もおり、アルゼンチン出身の選手もチームにいた。しかし、大半の代表選手が仕事の休暇をとってオールブラックスと対戦したような状況だった。
そう考えれば、108点を奪われながらもトライを挙げた実績には、敬意を表すべきだろう。
長期的な戦略を担当するソウザ氏は、今後の戦略についてさらにこう語った。
「現在は、外国出身の選手を代表チームに入れようという戦略はありません。国内の若い選手の才能を上手く開花させ、フランスのプロクラブに送り込み、代表チームでプレーして貰うというのが我々の戦略です」