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《日本と初のテストマッチ》強化トップに聞く「ポルトガルラグビー」のスタイルとは…軽量級、展開&ランニングで“カオス”を作り出す?
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byAFP/AFLO
posted2021/11/12 11:01
6日のアイルランド戦では悔しい結果に終わった日本代表。次戦ポルトガルには世界ランキングこそ上回るが、W杯を目指して強化が進む侮れない相手だ
ソウザ氏も語ったように、ラジスケ監督就任以来、より多くの才能溢れる若手が2部も含めたフランスリーグのクラブにプロ選手として送り込まれている。現在20歳のラファエレ・ストルティ(WTB)はパリの名門であるスタッド・フランセ、同じく20歳のホセ・マデイラ(LO)はグルノーブルでプレー。その成果は着実にチームに落とし込まれ、将来的にも楽しみなチームの1つであるのだ。
ただ一方で、歯科医でもあるキャプテンCTBトマス・アップルトン(28歳)をはじめ、現在も代表チームの大半の選手は国内クラブでアマチュアとしてプレーしているように、今後もその流れは大きく変わることはなさそうだ。
唯一国内クラブで選手に報酬が支払われるのは、「ルジタノス」という国内クラブに属するトップ選手を集めた連合チーム。日本で言う「サンウルブズ」のようなチームといえば分かりやすいだろうか。残念ながらサンウルブズと共に消滅してしまったアルゼンチンの「ハグアレス」というモデルは、ソウザ氏も参考にしているという。
このルジタノスが参加するのは、今シーズンから創設された「ラグビー・ヨーロッパ・スーパーカップ」という欧州ティア2国の8クラブが参加する大会だ。ルジタノスの他にはイスラエル、オランダ、ジョージア、スペイン、ベルギー、ロシアのクラブが参加しており、通常の単独クラブや国内の精鋭を集めたルジタノスのような連合チームを交えて行われているという。ルジタノスは9月に開幕した大会で、第4節を終えた時点で4戦4勝。まさに絶好調の状態だ。
そんな勢いに乗るルジタノスのメンバーと、フランスで技を磨く若手の融合。それを操るのが策士・ラジスケである。
日本と同じく軽量級、展開、ランニングラグビーを身上としており、高得点で多くのトライが見られる試合になる可能性が高い。試合会場となる「エスタディオ・シダーデ・デ・コインブラ」を訪れるファンたちは、ジャパンとのアタッキングラグビーを存分に楽しませてくれるだろう。
ジェイミージャパンはオーストラリア戦、そして先日のアイルランド戦で浮き彫りになった課題を修正し、新たな可能性を見出せるか。熱いゲームが待ち受けている。