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《日本と初のテストマッチ》強化トップに聞く「ポルトガルラグビー」のスタイルとは…軽量級、展開&ランニングで“カオス”を作り出す?
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph byAFP/AFLO
posted2021/11/12 11:01
6日のアイルランド戦では悔しい結果に終わった日本代表。次戦ポルトガルには世界ランキングこそ上回るが、W杯を目指して強化が進む侮れない相手だ
ポルトガル国内で最も人気のあるスポーツは、もちろんサッカー。
クリスティアーノ・ロナウド、ブルーノ・フェルナンデスといった国民的なスーパースターがいるため当然だが、ソウザ氏によればラグビーの人気度はトップ10にギリギリ入るくらい。団体競技で言えば、ラグビーよりもバスケットボール、バレーボール、ハンドボールなどが人気だという。
だが、アマチュアクラブの試合は地上波のTVで全国放送され、首都・リスボンをはじめとした都市部では、子供から大人までの年代別ラグビークラブも数多く存在するという。
そんなポルトガルにやってきたのがラジスケ監督だった。
「ポルトガルで仕事をしているフランスでの昔の同僚から話を聞き、私からポルトガルラグビー協会にアプローチしました」
カオスを作り出すラテンラグビー
選手として、そしてコーチとしてもフランスで実績のあるラジスケ監督は、自らこの仕事に応募した。かつての同僚から話を聞くと、ポルトガルのラグビーは自然とボールを展開するタイプで、代表選手たちをしっかりとコーチすれば、ラグビーヨーロッパチャンピオンシップでいい成績が残せる、とのことだった。
「選手たちがもともと持っている才能を、代表レベルで開花させる為のコーチングをしています。ダイナミックなラグビー、とでも言いましょうか」
ラグビーはご存知イングランドが発祥の地として、その後も英語圏を中心に広まっていったスポーツだ。こうしたアングロサクソン系の文化に欧州で対抗してきたのが、フランスをはじめとしたラテン系。堅く、確実に点を取るタイプのラグビーに対し、カオスを作り出して意表をつくのがラテンのラグビーと言える。
まさにその“ラテンのラグビー”を知る指揮官との相性もあいまって、番狂わせを演じたのが前述した今年のラグビーヨーロッパチャンピオンシップ。長年、ジョージアとルーマニアがトップの座を取り合ってきたが、そこに割って入ったのがポルトガルだった。