- #1
- #2
熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「日本はW杯に出て当然」の認識は正しいのか… 恵まれすぎな《アジア4.5枠》と、本大会での“残酷なまでの各大陸の実績格差”
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/11/11 17:03
本大会で決勝T進出した南アフリカW杯予選はグループ2位での通過だった。ただこれは「4.5」というアジア枠の恩恵とも言える
50%を大きく超えるのが南米と欧州で、この両者が世界の先進地域。北中米がちょうど平均レベルで、アジア・オセアニアとアフリカは後進地域となる。
アジアとオセアニア、アフリカに多く割り当てられた理由
ただし、これはあくまでもGSを突破した割合であり、近年はラウンド16以降、欧州勢が南米勢を上回ることが多い。優勝国も2002年大会のブラジルを最後に、2006年イタリア、2010年スペイン、2014年ドイツ、2018年フランスと4大会連続で欧州勢が独占しているという事実もある。
アフリカは、欧州ビッグクラブで活躍している選手が多く、アジアよりレベルが高いイメージがある。しかし、個の能力の高さがチームの成績に結びついておらず、このような結果となっているのだろう。
大陸間でここまでの差があるのなら、本来ならFIFAは先進地域からの出場枠を増やし、後進地域からの出場枠を減らして公平を期すべきだろう。しかし、1998年大会から出場国の数が24から32に増えて以来、各地域に割り当てられた出場枠はほとんど変わっていない。
その理由は、1974年から1998年までFIFAの会長を務めたブラジル人のジョアン・アベランジェがアジア諸国とアフリカ諸国からの支持を取り付けるため、1982年大会から出場国を従来の16から24へ、1998年に24から32へ増やした際にアジアとアフリカへの枠を実力以上に増やしたからだろう。アジアに関しては韓国、中国の企業がFIFAのスポンサーとなっていることも影響しているのかもしれない(注:かつてはソニーもFIFAのスポンサーだったが、2014年に撤退した)。
各大陸ごとの「適正出場枠」を算出すると
それでは――実際のところ、W杯への出場枠はアジア・オセアニアとアフリカにどのくらい甘く、南米と欧州にどのくらい辛いのか。
「出場枠が適正であれば、各大陸の代表の平均レベルは、参加32カ国全体の平均レベルと同一となる」と考えて「各大陸の適正出場枠は、その大陸の代表の中でGSを突破した国の数の2倍」と想定した。
<各大陸の適正出場枠=(その大陸の代表の中でGSを突破した国の数)×2>
たとえば、南米は過去6大会で延べ30カ国が出場し、22カ国がGSを突破している。上の公式に当てはめれば、1大会当たりの適正出場枠は 22×2÷6=7.3 となり、現在の4.5(5位の国は大陸間プレーオフに出場)より2.8も多い。
このようにして、直近6大会の成績から地域別の「適正出場枠」を弾き出した。以下の数字は現在の出場枠と適正出場枠だ。