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青学大関係者「あの時点で、駒大は“ない”と思いました」 箱根駅伝も“駒大vs.青学大”の2強対決が有力だが…不気味な1校の存在 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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posted2021/11/08 17:02

青学大関係者「あの時点で、駒大は“ない”と思いました」 箱根駅伝も“駒大vs.青学大”の2強対決が有力だが…不気味な1校の存在<Number Web> photograph by JIJI PRESS

全日本大学駅伝。7区で並走する駒大の田澤廉(3年)と青学大の近藤幸太郎(3年)

 駒澤   42(5.2)
 青山学院 40(5)
 順天堂  48(6)
 國學院  49(6.1)
 東京国際 59(7.3)
 早稲田  53(6.6)
 明治   57(7.1)
 中央   63(7.8)
 ※各校の区間順位の足し上げ(カッコ内は区間平均順位で、小数点第2位以下切り捨て)

 だいたい足し上げた総数の通りにならぶことが多いのだが、駒大と青学大が逆転し、東京国際大が足し上げでは7位相当だが、実際は5位に入った。

 これをどう読むか?

 実は、今年は総数が大きく、「戦国駅伝」を裏付ける結果になっている。

 現状のコースになってからの数字を見てみると、2019年の東海大は35、2020年の駒大は37だったが、圧巻だったのは2018年の青学大で、わずか20だった(区間賞、区間2位がそれぞれ2、区間3位が3、区間5位が1)。

 本当に強いチームは、ほとんどの選手が区間3位で収まり、だいたい20台から30台前半で落ち着く。

 しかし、今年は原監督がいうようにデコボコが激しく、優勝の駒大が40を超えた。この数字が示すのは、どの学校にも優勝するチャンスがあったということだ。

 総数が大きいということは、区間2ケタのブレーキ区間が出たということになる。4位までの学校は仲良く区間2ケタが2区間。

 では、どこで差がついたかというと、「挽回力」である。

「あの時点で、駒大は“ない”と思いました」

 今回、駒大は2区で区間10位、3区で区間12位と、3区終了時点で11位、5区終了時点でも9位と低空飛行を続けていた。青学大の関係者は「あの時点で、駒大は“ない”と思いました」と振り返ったほどだ。

 しかし、どんなに負債があったとしても、7区に控えるエース田澤廉(3年)が1分半ほどなら借金を帳消しに出来る。田澤の挽回力は並外れており、大八木監督も「5区までの流れを見てちょっと厳しいかなあと思ったけど、逆に言うと、田澤がトップに立てる位置まで、5区までの選手たちがよく粘ってくれたということです」と振り返った。

 駒大にとってうれしい誤算は、6区を走った安原太陽(2年)だった。6区はつなぎ区間と見られがちだが、ここで安原は猛烈に追い上げ、1分32秒前を走っていた青学大に追いつき、4位でタスキを田澤に渡した。田澤、アンカーで青学大を振り切った花尾恭輔(2年)にスポットライトが当たるのは当然だが、今回は安原の挽回力が駒大を救った。

 青学大は、原監督が「私の采配ミスです」と潔く認めたように、2区で区間14位、6区で区間12位のブレーキがあった。

【次ページ】 箱根駅伝も「駒大vs.青学大」が有力だが…

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