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「巨人びいき」批判があふれた亀井善行のWBC選出、原監督が明かしていた“本当の理由”「イチローに何かあった場合…」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byJIJI PRESS
posted2021/10/23 11:04
10月21日に引退記者会見に臨んだ巨人・亀井善行。時折、笑顔も見せた
亀井でなければならなかった理由とは?
「一番最初に決めたのが、片岡(易之内野手、当時西武)と川崎(宗則内野手、当時ソフトバンク)と亀井の3人だった」
この日の引退会見に駆けつけた原監督は当時のメンバー選考をこう振り返ったが、正確に言えばちょっと違うのかもしれない。
と、いうのも当時の原監督の頭には、代表の骨格を形成する野手が3人いて、その選手を軸にチームのメンバー構成を考えていた。その3人というのが第1回大会でもチームリーダーとして優勝の原動力となったイチロー(当時シアトル・マリナーズ)と、当時タンパベイ・レイズでレギュラー選手として活躍していた二塁の岩村明憲内野手、そして原監督がその打撃技術を高く評価していた中島裕之(現宏之)内野手(当時西武)の3人だ。もちろん代表チームは選り抜きのエリートの集まりになり、それぞれのポジションに入る選手は基本的には不動であるが、中でもこの3人に関しては、特に不動のメンバーとして全試合に先発してもらうつもりで、最初に代表入りを決めている。
WBCでは野手は原則的には交代する必要がない
そこで大事になるのがこの3人の控え選手だったのである。
もともと日本代表というチームは、12球団の選りすぐりのエリートたちの集団で、しかもメジャーリーガーも参加するWBCの場合は、そこにイチローのような選手も加わったドリームチームだ。もちろん投手は先発に中継ぎ、セットアッパーに、クローザーという役割分担があり、それぞれの部門の専門職を集めるためには、人数も必要になる。しかし野手の場合は先発したメンバーはこれ以上ない選手たちなので、投手を除く8人は原則的には交代する必要もない。必要があるとすれば相手投手の右左による代打と代走や守備固めの要員ということになる。
しかもWBCではもう1つ大きな問題があるのだ。
それは大会開催の時期の問題だった。