〈出雲駅伝〉逆転劇もなし…初出場の東京国際大学が5強に圧勝できた「ヴィンセントだけじゃない」4つの勝因

　予想以上の圧勝劇だった――。

　2年ぶり開催の出雲駅伝。東京国際大学（以下、東国大）は大エースのイェゴン・ヴィンセント（3年）をアンカーに配し、「45秒以内の差なら優勝が見えてくる」と、大志田秀次監督は最終区での逆転劇を思い描いていたが、ヴィンセントがタスキを受けたのは、まさかのトップだった。

　“学生最強”との呼び声が高いヴィンセントが相手では、逃げ切る展開を想定していたライバル校にとって、もはや為す術がなかった。もちろんレースは最後まで何が起こるか分からないが、フィニッシュを待たずに「勝負あり」というのが大方の見方だっただろう。

2位に2分近くの差をつけてゴールする東国大のアンカー・ヴィンセント　©Nanae Suzuki

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　結局、東国大は、2位に1分57秒もの大差を付けて初優勝を果たした。昨年度も出雲の出場権を有していたが、新型コロナ禍で中止になったため今回が初出場。33回の歴史を数える出雲駅伝で、第1回を除けば、初出場で初優勝を飾るのは史上初めてのことだった。

「ヴィンセントだけじゃない」4つの勝因

　東国大は留学生のヴィンセントだけでなく、3年生の丹所健も力を付けて、今季はエース級の存在感を示している。卒業生には、今夏の東京オリンピック男子10000m代表の伊藤達彦（Honda）もいるが、丹所はすでにトラックの5000m、10000mの記録で、在学中の伊藤を上回る記録をマーク。そして、今回の出雲でも、3区で先頭に立ち、優勝を決定づける走りを見せた。

関東インカレ10000m決勝を走る丹所。大学の先輩でもある東京五輪10000m代表・伊藤達彦が在学中に持っていた記録はすでに更新している　©AFLO

　先頭と4秒差の3位でタスキを受けた丹所は、「最初から突っ込まないつもりだったが……」と振り返るが、いきなり最初の1kmを2分40秒で入り先頭に立ち、混戦を抜け出した。2位に上がった創価大学のフィリップ・ムルワには差を詰められたが、3位の青山学院大学には33秒の大差を付けて、次走者にタスキをつないだ。

「SNSとかで『東京国際は、ヴィンセントまでに日本人がどれだけ先頭との差を縮められるか、1分差以内で渡せば優勝があるだろう』などと、みんな予想を立てていましたが、自分たちもそう思っていました」

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