甲子園の風BACK NUMBER
森木大智だけじゃない? 甲子園を逃したドラフト候補たち…ベールに包まれた190cm左腕、スカウト注目の大型ショートとは
text by
西尾典文Norifumi Nishio
photograph byPABB-lab.
posted2021/10/04 11:02
甲子園には辿り着けなかったが、中学時代の評判そのまま成長を続ける森木大智(高知)。他にも聖地と縁がなかった逸材はゴロゴロいる
一方の野手も有力選手が未出場組に集まった印象を受ける。
中でも注目度が高いのが阪口樂(岐阜第一)、有薗直輝(千葉学芸)、吉野創士(昌平)の強打者3人だ。いずれも確実性には課題が残るものの、ボールを遠くへ飛ばすということに関しては高い能力を誇り、近年プロが高く評価しているタイプにピッタリ当てはまる。今年は野手の候補が少ないがゆえに先に確保しようという球団が1位、2位の上位で指名することも十分に考えられる。
展開次第ではこのスラッガー3人よりも高い評価になる可能性を秘めているのが大型ショートの粟飯原龍之介(東京学館)だ。
成田シニアでは主に9番セカンドでプレーしており、高校入学当時はとにかく細くて足だけが速いという選手だったが、体の成長とともにプレーも大きくスケールアップ。2年秋の千葉県大会では6試合で3本のホームランを放ち、続く関東大会では極端な守備シフトも敷かれている。
ショートの有力候補が少ないだけに
体は大きくなっても元々の持ち味であるプレーのスピードは健在で、180cmの長身でダイナミックに動けるショートの守備も魅力十分だ。夏は早々に敗れてアピールの機会は少なかったものの、大会前に行われた1日で2試合をこなす練習試合では、複数のスカウトが入れ替わり立ち替わりで視察する球団もあったほどで、プロからの注目度は極めて高い。
さらに今年の候補選手を見てみると高校生に限らず大学生、社会人まで含めてもショートの有力候補が少なく、その点も粟飯原にとっては追い風となりそうだ。
近年のドラフトを見ても超目玉だった佐々木朗希(大船渡・2019年ロッテ1位)以外にも堀田賢慎(青森山田・2019年巨人1位)、紅林弘太郎(駿河総合・2019年オリックス2位)、笹川吉康(横浜商・2020年ソフトバンク2位)など事前にそこまで報道の多くなかった甲子園未出場組が上位でプロ入りしており、紅林は早くもレギュラーの座をつかんでいる。
今年も彼らに続くような逸材が多くプロの舞台へはばたくことを期待したい。