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「こんな選手がいたのか!」21世紀枠の“超天然素材”前田銀治が秘める無限大の可能性《ドラフト・11球団から調査書》

posted2021/10/04 06:00

 
「こんな選手がいたのか!」21世紀枠の“超天然素材”前田銀治が秘める無限大の可能性《ドラフト・11球団から調査書》<Number Web> photograph by Yu Takagi

稲木監督が「超天然素材」と呼ぶように、高校生らしいハツラツとしたプレーを見せる前田銀治。センバツでの活躍でたちまちドラフト候補の1人になった

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高木遊

高木遊Yu Takagi

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 高校野球の象徴ともいえるハツラツさが、182センチ98キロの大柄な体格からスピード感たっぷりに表れる。静岡県立三島南高校の前田銀治は、野球少年がそのまま大きくなったかのように野球を楽しみ、急成長を遂げてきた。

 今春のセンバツ甲子園で「21世紀枠の高校にこんなスケール感の選手がいたのか!」と思わせる大きなインパクトを残した。初戦の鳥取城北戦で3番・中堅手として先発。第3打席で逆方向にグングンと伸びるライトフェンス直撃の一打を放つと、大柄な体に似合わぬ俊足を飛ばして11秒7のタイムで三塁まで一気に到達。スタンドを大いに沸かせた。

 さらに第4打席では三遊間を瞬く間に抜いて行く安打を放った。投手としても9回から2番手として登板すると、自己最速となる143キロを記録。チームは初戦敗退とはなったが、一躍「ドラフト候補」にまで駆け上がった。

 まさに、一日にして人生を変えた、と言っても過言ではない。稲木恵介監督は「センバツが始まるまでは“良い選手だね”というくらいで、周囲から“ドラフト候補”としては見られていませんでした」と振り返る。

入口は「ソフトボール、やってみない?」

 小学5年生の頃、友人に「体格いいんだから、やってみない?」とソフトボールを始めたのが野球への入口だった。

「ピッチャーが打たせないように投げてきたボールを芯に当てて遠くに飛ばす。相手バッターが芯でとらえた打球をバーンッと捕球する。そういうのが楽しいですねっ!」

 おそらく当時と変わらないような屈託のない笑顔で前田は野球の魅力を語る。こうして白球を追いかけることに虜となった少年は、ソフトボールで全国大会に出場。中学では硬式野球を始め、スルガマリンボーイズでは全国大会出場を果たした。「兄、姉もいたので公立に」と地元で環境が良いと感じた三島南に入学した。

 その真っ直ぐな性格ゆえ、この年の新入生で真っ先に怒られたのは前田だった、と稲木監督は笑う。

【次ページ】 ヘルメットを叩きつけた前田

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