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「清宮の外れドラ1」の共通点… 安田尚憲は村上宗隆に続けるか? “阪神が1勝分ハンデなセ首位争い”も注目の9月〈週刊セパ記録〉
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/01 11:03
パ・リーグ制覇も十分に狙えるロッテにあって、安田尚憲は勝負強さと長打力でチームを栄光に導けるか
投手
京山将弥(De)1登1勝 7回 率0.00 PR2.67
原樹理(ヤ)1登1勝 7回 率0.00 PR2.67
秋山拓巳(神)1登1敗 6回 率0.00 PR2.29
柳裕也(中)1登 6回 率0.00 PR2.29
床田寛樹(広)1登1勝 6回 率0.00 PR2.29
DeNA京山は8月27日のヤクルト戦で7回零封の好投。今季は開幕2戦目で先発を任されたもののぱっとしなかったが、ここへきて復活気配だ。ヤクルトの原樹理も7月10日に続いて今季2度目の登板で結果を出した。逆に巨人のエース菅野智之は、8月26日の広島戦で7月1日以来のマウンドに上がったが6回自責点5と結果を出せなかった。
救援では巨人のビエイラと広島の栗林良吏が2セーブ、ヤクルトの清水昇が3ホールドを挙げている。
それぞれ清宮の「外れ1位」だった村上と安田
★今週の“ぴかイチ” 同期、村上宗隆を追いかけるか? ロッテ安田尚憲★
2017年ドラフト会議の目玉は、3人の高校生スラッガーだった。早稲田実の清宮幸太郎、九州学院の村上宗隆、履正社の安田尚憲。知名度では清宮が抜群だったが、ともに恵まれた体躯の左打者であり、長距離砲に育つことが期待された。
ドラフトでは清宮を7球団が指名し、日本ハムに入団が決まる。くじに外れたロッテが安田を、ヤクルトが村上をそれぞれ「外れ1位」で指名した。
清宮は1年目から7本塁打を打って大器の片りんを見せる。
村上は1年目は主として二軍暮らしだったものの、2年目の2019年に36本塁打96打点と大活躍して19歳ながら一躍主軸打者になる。その後も村上は好成績を挙げ続けて、東京五輪の代表選手にも選ばれた。
これに対して清宮は2年目、3年目も7本塁打にとどまり、4年目の今季は二軍暮らしが続いている。
ではロッテの安田はどうか。
スタメン復帰後は好調、藤原恭大の存在を刺激に
2019年まで2年間、主として二軍でプレーしたが、井口資仁監督は2020年に安田を4番に抜擢した。村上にならって「若き主軸打者」を作ろうと考えたのだ。
だが2020年はほぼフル出場したものの、6本塁打54打点、打率.221(25位)に終わった。終盤には打順も下位を打つことが多かった。
井口監督は、それでもあきらめずに今季も安田を起用し続けた。安田は開幕からは低迷、打率も2割台前半、本塁打も6本だけ。井口監督は、後半戦になっても調子の上がらない安田を8月20日から4試合スタメンから外した。
しかし8月25日に6番三塁でスタメン復帰した安田は、ここから4試合で12打数7安打1本塁打と活躍し、首脳陣に希望を抱かせている。今シーズンの通算打率も.254(20位/8月30日時点)まで上昇した。
昨年の安田は左投手を打率.177とほとんど打てなかった。しかし今季は.227とやや進歩の跡が見える。ただ四球数は昨年の62から34と大幅に減少。早打ちになっている傾向が見られる。
ロッテは安田よりもさらに若い大阪桐蔭出身の藤原恭大が、後半戦から勝負強い打撃で注目を集めている。安田にとっても高校時代から知っている藤原の活躍は刺激的ではあるだろう。
残り46試合、安田にとっては9月以降の活躍次第で将来が決まると言っても良い。打席での構え、三塁守備などを見ても安田尚憲には「大物スラッガー」の雰囲気が漂っている。安田は村上宗隆に追いつくことができるだろうか。