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中田翔「無期限出場停止」が《9日で解除》の説明なし…「球界の番人」コミッショナーは何をしているのか?<ファンのモヤモヤが…> 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2021/08/29 11:02

中田翔「無期限出場停止」が《9日で解除》の説明なし…「球界の番人」コミッショナーは何をしているのか?<ファンのモヤモヤが…><Number Web> photograph by Sankei Shimbun

巨人に移籍し、すぐにチームに馴染んだように見える中田翔

罰則や処分を誰がどうやって決めるのかという問題

 それはこうした事件が球団内で起こったときに、罰則や処分を誰がどうやって決めるのかという問題である。

 今回の中田の一件で考えれば、中田の暴力行為が統一契約書第17条に定める「日本国民の模範たるべく努力をすることを誓約する」という模範行為の規定に反するものとして、野球協約第60条(1)項の規定により球団が出場停止選手とする処分を科し、それをコミッショナーが公示、出場停止選手名簿に記載された。

 野球協約60条(1)項というのは、「支配下選手の不品行、野球規則及び両リーグのアグリーメント違反を理由に、球団あるいはコミッショナー、または両者が適当な罰金または出場停止、もしくはその双方を科すことができる」と規定した条項だ。

 中田のケースは統一契約書の模範行為の規定に違反するため契約主体の球団が処分を課し、それをコミッショナーに提出、コミッショナーが公示するという手続きとなった。

コミッショナーは「球界の番人」と言われてきた

 ただその一方で野球協約第8条2項ではコミッショナーの職権及び職務を「この協約または協約に基づく規定に反する事実があるかまたはそのおそれがあるとの心証を抱くときは、調査委員会に事実を示してその調査を委嘱し、その結果についての処分意見を得て、自らの名において関係者に制裁を科する」と規定している。

 だとすれば中田の行為は野球協約60条(1)項への違反行為であり、コミッショナーが「心証を抱け」ば調査に乗り出し、その結果として処分の主体となり得る。

 逆に言えば今回の件で炙り出された球界の問題とは、こうした事件が起きたときに処分主体がコミッショナーではなく、球団となることが圧倒的に多いということにある。

 もちろん球団が主体となって調査し、自浄的に処分を決めることは悪いことではない。ただ、その処分が妥当だったのかを第3者が中立的な立場で精査して、その上で最終的な処分が決まるわけではないということだ。

【次ページ】 Jリーグではチェアマンが事態の収拾に乗り出す

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