猛牛のささやきBACK NUMBER
甲子園中止→プロ初球ホームラン! “末恐ろしい”ルーキー来田涼斗、“出場辞退”球児へエール「その先の人生のほうが長い」
posted2021/08/28 11:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
KYODO
「こんなことある?」
オリックスのルーキー来田涼斗は、そう言わんばかりに大きな瞳を丸くした。
8月21日の西武戦。6番・DHで先発出場した来田は、西武の先発・今井達也に、2打席連続で3球三振を喫した。しかも6球すべてストレート。来田は初球から全球振っていったが、当たらない。150キロ台の速球にかすることもなく、6度すべて見事な空振り。信じられないといった表情だった。
「自分の中では捉えられると思って振っていったボールが、全部シュート気味に逃げていくようなかたちで、当たらなかった。ストレートが本当に速くて伸びもあったので、すごいなと思いました。今まで打席に立った中にはいないようなピッチャーでした」
プロの洗礼か。しかしそんなことではへこたれない。
「小さくならず、大きく育っていけるように、毎日食らいついて頑張りたい」
そう語っていた通り、翌日の第1打席では、1死一、二塁の場面で初球を勢いよく振り抜き、ライトへのタイムリー安打を放って笑顔を見せた。
この春まで高校生だったとは思えない、末恐ろしい18歳である。
衝撃のフルスイングデビュー
デビューは衝撃的だった。
7月13日に初めて一軍登録された来田は、その日、釧路で行われた日本ハム戦に7番・レフトで初出場初先発。初回に2死一塁の場面で初打席が回ってくると、初球を迷いなくフルスイング。打球は右中間スタンドに飛び込み2点本塁打となった。高卒新人の初球本塁打は、史上初の快挙である。
高校時代も、高2春のセンバツ準々決勝の智弁和歌山戦で、先頭打者本塁打とサヨナラ本塁打の両方を記録する“史上初”をやってのけたが、やはり来田は何か持っている。それを一振りで証明した。