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中田翔「無期限出場停止」が《9日で解除》の説明なし…「球界の番人」コミッショナーは何をしているのか?<ファンのモヤモヤが…> 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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photograph bySankei Shimbun

posted2021/08/29 11:02

中田翔「無期限出場停止」が《9日で解除》の説明なし…「球界の番人」コミッショナーは何をしているのか?<ファンのモヤモヤが…><Number Web> photograph by Sankei Shimbun

巨人に移籍し、すぐにチームに馴染んだように見える中田翔

 今回の中田の事案でも結局、日本ハムは「被害選手が大事にしたくないと言っている」という理由で、事件の詳細な経緯やその後の中田への聞き取りの内容等は明らかにしていない。その上で「無期限出場停止」という一見、極めて重い処分を下しながら、わずか9日で解除して他球団にトレードした。その理由も日本ハムが球団として明確にアナウンスしないままに丸投げし、移籍先の巨人でも処分解除の理由は説明されていない。

「中田を殺してはいけない」という巨人・原辰徳監督の思いとは別に、そうした一連の処分から解除への不透明さがこの問題を大きくしている。また直後に起こった西武・佐々木健投手のコロナ感染防止規定違反に伴う1カ月の出場停止処分と比較しての不公平感もファンにとってはまさにモヤモヤの理由となっていることは明白だ。

プロ野球そのものへのファンの不信の原因に

 そして日本ハムの自浄作用に対する不透明感と処分への不公平感がプロ野球そのものへのファンの不信の原因となっているのだ。その重さにコミッショナーがビビッドに反応できず、呑気に静観を決め込んでいることも大きな問題なのである。

 協約違反の事案については、球団が調査し処分案を決めるのは自浄ということを考えればそれでいい。ただ最終的には、その内容を第3者が検討し、正式な処分とその解除までを決める“制度”が必要だということだ。ただ実は現在の協約でもコミッショナーがやろうと思えば、そういう処分決定と解除の流れにすることはできるはずである。だとすれば要はコミッショナーのやる気の問題であるわけだ。

 放っておけば、いずれ収まるとタカを括っているかもしれないが、実は今回の中田の問題は当事者や機構が思っている以上にファンの不信を買うものだったと思う。球界としてその事実をしっかり受け止め、コミッショナーを含めて野球界全体として今後にどういう姿勢を示せるのか。

 中田を巡る一連の問題の本質とはそこにあるはずである。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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