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“18歳で選手生命の危機”を味わった市川大祐が今、中学生年代に伝えたいこと「サッカーが好きだから無我夢中すぎて…」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byS-PULSE
posted2021/08/27 17:01
現在、市川大祐は清水のジュニアユース監督を務める。自らの経験を中学生年代に伝えている
「学校で何かあった?」など、やり取り1つに意味がある
エスパルスのアカデミーに所属する選手たちは、毎日、体温や疲労度など、トレーナーへの体調報告を行い、メディカルチェックを欠かさない。コンディション管理、体調管理のもと、何か異常があったり、疲労度が少し高いと判断されれば、トレーニングメニューはコントロールされる。チームは都度、臨機応変に対応し、予防に努める。
市川は選手との対話も欠かさない。
「ちょっと体調が悪いと言う選手と話をしてみると、最近、あまりご飯が食べられていなかったり、うまく睡眠が取れていなかったりすることがあるんです。その積み重ねがオーバートレーニング症候群に繋がってしまう可能性もあるので、そういった不安要素は少しでも早くクリアできることが大切だと思っています」
さらに体調の変化のみならず、プレーはもちろんのこと、日頃の些細な行動の変化にも目配り気配りを欠かさない。
選手の様子を見て、ときには「学校で何かあった?」と声をかけることもあるという。たとえ、「何もありませんよ」と選手が返答しても、やりとりそのものに意味があると考えている。どのタイミングでどんな言葉をかけるか、それは監督である市川がいつも心に留めていることだ。
「僕自身がそうでしたが、サッカーが好きだから無我夢中すぎて気づかなかったり、無理をしてでもやってしまうんですよね。だからこそ、スティーブが僕の状態、変化に気づいたように、常に選手を見て、彼らの変化をもっと敏感に感じとっていけるようになっていかなければいけないと思っています」
自身と同じ症状で苦しむ選手が出ないように――。市川は育成年代の指導に力を入れるとともに、選手がすみやかに指導者に報告できる環境づくり、信頼関係の構築に今この瞬間も励んでいる。
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