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【遠藤保仁ジュビロ移籍】「なぜ欧州に行かなかった?」日本代表元フィジカルコーチがヤットに驚いたワケ

posted2020/10/05 11:02

 
【遠藤保仁ジュビロ移籍】「なぜ欧州に行かなかった?」日本代表元フィジカルコーチがヤットに驚いたワケ<Number Web> photograph by Tomoki Momozono

日本代表にとってフィジカルというのは常に頭の痛い問題だった。そこに別角度から光を当てたイリバレンの功績は大きい。

text by

豊福晋

豊福晋Shin Toyofuku

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Tomoki Momozono

10月5日、遠藤保仁のガンバ大阪からジュビロ磐田への期限付き移籍が正式に発表された。そのテクニックと判断力の高さで日本代表の中盤を長きにわたって支えた“ヤット”だが、アギーレ・ジャパン時代のフィジカルコーチいわく、フィジカル面でも優れたものがあるのだという。(初公開:2016/03/31

「日本人はサッカーに適した、アスリート向きの人種です」

 そう断言するスペイン人がいる。

 ハビエル・アギーレが日本代表監督を務めていた頃、フィジカルコーチとして日本代表に帯同したフアン・イリバレンだ。

 アギーレの右腕として、オサスナやエスパニョールでフィジカルコーチを務めてきた。現在はアラブ首長国連邦のアルワハダでアギーレと共に働いている。

 日本代表のフィジカルコーチに就任する前、イリバレンは日本人のフィジカルについての知識はゼロだった。日本のクラブに携わったことも、欧州で日本人選手と仕事をしたこともなかったからだ。

 2014年夏、日本に渡った彼は選手を近くで見て、触れ、言葉を交わし、あらゆる種類の測定を行った。彼はまず、日本人のフィジカル、その特性を見出そうとした。

遺伝的に突出した爆発的なスピードと持久力。

 そこでイリバレンを驚かせたのは、ふたつの数値だった。

「スピードと持久力です。ヨーロッパ人と比較すると、日本人はこの数値が非常に高かった。爆発的なスピードを持っていながら、同時に持久力もある。どちらかで高い数値を持つ選手は多くいますが、高いレベルでこれを併せ持つ選手は限られます。後半など、疲労時のパフォーマンス発揮も素晴らしかった。

 これらの特性は遺伝的なもので、欧米人にはないものです。分かりやすい例は長友佑都です。スピードも持久力も一級品で、他にもこの資質を持った多くの選手がいました。

 一方で、ドイツ人やイングランド人など、アングロ・サクソン系の人種と比較した場合、筋量や骨格、サイズの面で差があります。私とアギーレはその差を日本人の特性で埋めようとした。スピードやアジリティ、持久力を生かしたサッカーです」

 アギーレはパス意識が強かった日本に、スピードと縦の意識を植え付けようと取り組んだ。イリバレンが見つけた、これらの特性を生かそうとしたのだ。

【次ページ】 イリバレンを驚かせた乾貴士と武藤嘉紀。

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