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ポゼッション放棄でも「危険を感じたことは一度もない」インテルのMFニコロ・バレッラが明かす、カウンターサッカーの真髄
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フランス・フットボール誌France Football
photograph byL’Équipe
posted2021/08/26 17:01
FWのラウタロ・マルティネスと得点を喜ぶバレッラ。ルカクが移籍し、2人のホットラインがより重要になる
――リーグ後半戦を通じては、相手にリードを許したのは通算で1時間だけです。
「そのデータは知らなかったがとても嬉しい。自分たちのアタッキングサードでボールを回されたら、疲労がたまるし相手に自信を与える。ただ、たとえそこでボールを持たれても、危険だと感じなければ敢えて相手陣内にボールを運ぶ必要はない」
――結局のところインテルは効率的なチームで、枠内シュートの15%がゴールに繋がっています。とりわけロメル・ルカクとラウタロ・マルティネスの働きによるものですが。
「彼らは昨シーズンから破壊的だった。互いの特徴をよく理解してとてもバランスが取れていた。特別な化学反応がふたりの間にはある」
――あなたは11人のスタメンのなかで、3番目の武器ですが……。
「中盤で僕は攻撃に多少特化している。中盤と前線のつなぎ役だ。マルセロ・ブロゾビッチとクリスチャン・エリクセンがボールを回すのに対し、僕と右サイドのハキミはもっぱらスピードで攻撃を加速化する」
スクデット獲得の条件
――順位の推移は少し奇妙でした。冬の王者となったミランを抜いてトップに立ったのは第22節でしたが、その後はずっと首位を守り4節を残してスクデットを獲得しました。
「まず予想外の躍進を遂げたミランは、それだけのパフォーマンスを実現したことを認めるべきだ。だが、僕らもチャンスをうかがっていた。離されることなくついていき、彼らが隙を見せたときに一気に抜くことができた。そこからわかるのは、最後が大事ということだ。スタートで躓いても、リーグを制するのは最も安定したチームなんだ」
――他方で9連覇中のユベントスは精彩を欠きました。一度もタイトル争いに絡みませんでしたから。
「彼らは新たなプロジェクトに取りかかった。ただ、1月17日のホームゲームでの勝利(2対0)が、その後の展開を予兆していた」
――あなたはインテル復活のシンボルのひとりですが、目前に迫ったEUROはどうでしょうか?
「監督(ロベルト・マンチーニ)は僕を戦力として頼りにしている。インテルに移籍してからは招集されて何の不思議もないけど、カリアリの時代にも彼は僕をスタメンで起用した。カリアリの粋がった若造と見なしていないことはよくわかった。クラブだけでなく代表の力になれる選手のことを彼は常に考えている。その点でブレはない」