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「顔が見えないチーム」が100億超えのトップクラブへ…ヴィッセル神戸は“日本のバルセロナ”になれるか?
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2021/08/24 11:01
ここ数年でJリーグ内での存在感を強めるヴィッセル神戸。なぜここまでの急成長が実現できたのか?
スタイルが決まれば、例えばスカウティングもチームに合う選手に狙いを定めることができる。また、そのスタイルに憧れて入団を希望する選手も増えるだろうし、ファンやサポーターも増えていくはずだ。確固たるスタイルは、そうした恩恵をクラブにもたらす。
ただ、神戸の場合、スタイル確立の方法論にやや難がある。
広島も川崎も変えたのは「指揮官」だった
広島はペトロヴィッチ監督が指揮した後、森保一監督が守備強化で広島スタイルを築き、黄金時代を築いた。川崎は風間八宏監督と鬼木達監督の2代で独自のスタイルを生み出し、常勝チームに成長させた。ともに重要な役割を果たしたのは、指揮官だ。
神戸がバルサ化を推し進めることを今も理想にしているのであれば、監督の選定がより重要であることは当然理解しているだろう。仮に移籍してきた3選手が活躍して結果オーライだけでは、その選手の特徴がチームのスタイルになってしまう。それでは、本物のスタイルは定着しない。
加入する大迫、武藤、ボージャンを始め、チームに所属する選手の質は非常に高い。すでに武藤は鹿島戦でデビューし、決勝ゴールをアシストし、存在感を見せた。真夏の大補強が一段落したところで次の一手をどうするのか。三浦監督が指揮するチームは好調だが、もともとスポーツダイレクターとして手腕を発揮しており、個人的にはその職が適任とみる。
「バルサ化」を推進するにせよ、新しいスタイルを求めるにせよ、世界から本当に腕のいいシェフが来れば、神戸はもっと面白いクラブになるはずだ。
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