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“イニエスタも虜になった”26歳古橋亨梧ってどんな選手? 岐阜→神戸→最高クラスの7億で名門セルティックへ
posted2021/07/23 17:30
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Getty Images
古橋亨梧がスコットランドの強豪セルティックFCへの移籍を決めた。
移籍金約7億円の完全移籍で4年契約。日本人最高クラスとなる金額の大きさからセルティックの古橋獲得の本気度と彼への期待度の大きさが見て取れる。ヴィッセル神戸との契約期間を残していたので、違約金が神戸に入ることになり、古橋にとって大きく成長させてくれたクラブに恩返しをすることもできた。気持ちよくスコットランドに赴き、戦えるだろう。
イニエスタ、ビジャによって磨かれた才能
古橋ほど進歩の跡が見える選手はいない。
2018年8月、J2のFC岐阜から神戸に移籍してきた。2019年、31試合10得点と活躍し、Jリーグ優秀選手に選出された。日本代表にも選ばれ、11月のべネズエラ戦でデビューを果たした。20年は30試合12得点の成績を残し、Jリーグ優秀選手に2年連続で選出された。
今シーズンは、21試合で15得点を挙げ、中断前は得点ランキングでトップ、得点王も狙える位置にいた。神戸は中断前に3位におり、優勝は少し遠いがACLを狙える順位にいる。古橋は「ACLを狙っていきたい」と語っていたが、3位内死守に必要な戦力だった。
そういう存在に成長させてくれたのは、神戸の環境であり、仲間たちだ。
岐阜時代からスピードに定評があったが、それを活かしたプレーや技術、得点力は神戸でアンドレス・イニエスタやビジャら元スペイン代表の素晴らしい選手たちによって磨かれた。
「最初は走ってスピード勝負でゴールを狙う感じだったんですけど、連係で打開していく、スルーパスに反応してゴールを狙うことができるようになった。それはイニエスタ選手のおかげですね」
二人の関係性が良くなってきた頃、古橋はそう言って自信を深めていった。イニエスタからの変幻自在のパスは相手の急所を突き、「ここ?」というところに出てくる。最初は戸惑っていたが、徐々に慣れていくと呼吸とパスが出てくる場所の読みが合致し、決定的なシーンを演出し、ゴールやアシストを重ねていけるようになった。
FWとしての動きはビジャから学んだ。
「裏に抜けるタイミング、ポジショニング、動き、時間、スペースをどう使うか、周囲でより有利な選手がいるのか、シュートの仕方などたくさんのことを僕に教えてくれました。その結果、ゴールを決めることができるようになりました」
ビジャは置き土産として、古橋にFWとしての極意を伝え、若きストライカーの成長を後押しした。
日本代表に選出された「豊富な運動量」
古橋の成長は、攻撃面だけではない。もしかすると、守備に一番磨きがかかったのではないだろうか。