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「顔が見えないチーム」が100億超えのトップクラブへ…ヴィッセル神戸は“日本のバルセロナ”になれるか?
posted2021/08/24 11:01
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
JIJI PRESS
ヴィッセル神戸のエースに成長した古橋亨梧がスコットランドの名門、セルティックFCに移籍するや否や、ビッグネームの大型補強のニュースが飛び込んできた。
ブレーメンから日本代表のエースである大迫勇也、ニューカッスルから武藤嘉紀が相次いで神戸への移籍を発表。さらに、元スペイン代表FWボージャン・クルキッチの加入を発表された。古橋が神戸に残していった移籍金があるにしろ、豪華な補強は他クラブが真似できるものではない。ファンやサポーターは嬉しいだろうが、なぜ神戸は次々と大物と呼ばれる選手の獲得を実現できるのか、不思議に思う人も多いと思う。
日本トップ企業を親会社に持つ
そもそも神戸は2005年から2013年まで赤字決算だった。だが、クラブライセンス制度(Jリーグが大会出場クラブを複数項目で審査する制度)が適用された2014年に、一転して17億4600万円の黒字を計上し、債務超過を解消させている。それまで主要スポンサーとしてクラブを支援していた楽天が全株式を取得し(2014年12月)、経営参加に乗り出したのだ。
親会社となった楽天のバックアップを受けた神戸は、2018年にスペイン代表のアンドレ・イニエスタ選手ら世界のトップ選手を獲得することに成功。イニエスタの年棒約33億円を含む人件費は、当時リーグ断トツ1位となる約64億円にも上った(当時の2位は名古屋で約35億円)。
ただ、2020年度はコロナによる影響もあって入場料収入やスポンサー契約料が激減し、約67億円もの減収(47億14000万円)と厳しい経営環境に置かれている。それでも、大迫勇也と武藤嘉紀という日本のトップ選手を獲得できたことは、総資産6670億円(日本人5位)を持つ三木谷浩史会長の楽天という強力な後ろ盾を想起させる。
顔の見えないチームから…「バルサ化計画」が始動
では、つい最近まで赤字続きのクラブチームがどう変わってきたのか。チームが注目され、全体的に大きく変わり始めたのは、親会社の楽天がバルセロナと4年間のスポンサー契約を結んだ2017年からだろう。