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貧しい生い立ち→10代でゴール量産も「Jリーグ、ムリ」や“227分でイエロー1枚”… 超人な問題児フッキの強烈すぎ半生

posted2021/08/20 11:01

 
貧しい生い立ち→10代でゴール量産も「Jリーグ、ムリ」や“227分でイエロー1枚”… 超人な問題児フッキの強烈すぎ半生<Number Web> photograph by J.LEAGUE

札幌や東京VなどJリーグでも大暴れしたフッキ

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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J.LEAGUE

ブラジル人フットボーラーは日本・世界のサッカー好きを熱狂させてきた。そんな彼らの数奇な半生について、定期的に紹介していく。今回はJリーグを経由してビッグネームとなり、35歳となった今も母国で活躍を続けるフッキだ(全2回/後編はこちら

 ブラジルは、個性的な選手の宝庫である。その中でも、これほど波乱に満ちたキャリアを送ってきた選手はなかなかいない。

 7月25日、35回目の誕生日を迎えた。普通なら体力の衰えを感じ、引退を考えてもおかしくない年齢だ。しかし、この“超人”に世間一般の常識は通用しない。"第二の全盛期"とでも呼べるようなエネルギッシュなプレーを披露し、母国と南米のフットボール関係者とファンを驚かせている。

 のみならず、私生活でも大きな物議を醸した(これについては「第2回」で詳しく述べる)。つまり、ピッチ内外で“大暴れ”しているのである。

 本名は、ジバニウド・ビエイラ・デ・ソウザ。しかし、子供の頃から「フッキ」と呼ばれ、本人も「たまにジバニウドと呼ばれても、自分のこととは気付かず、無視してしまう」と笑う。

 「フッキ」とは、アメリカン・コミック「超人ハルク」(後にテレビドラマ、アニメ、映画にもなった)で主人公が激怒したときに変身する全身緑色で筋肉隆々の巨人の名前。英語では「ハルク」だが、ブラジルでは「HULK」をこう発音する。

超人のルーツは”肉運び”!?

 ブラジル北東部の中都市カンピーナ・グランジの出身。幼い頃からボールを蹴るのが大好きで、6歳で地元のフットサルチームに入ってテクニックを磨いた。憧れの選手はロナウドとロマーリオで、プロ選手になることを夢見た。

 父親は、露店市の肉屋で働く労働者。7人兄弟で唯一人の男の子だったので週に2、3回、露店市が開く前の未明に父親の仕事を手伝わされた。トラックで到着した重い肉を、数百メートル先の露店市の売り場まで肩に担いで運ぶのである。

 眠いのでいつも泣いて嫌がったが、「手伝わないとフットサルの練習へ行かせない」と怒鳴りつけられ、渋々、従った。いつしか、上半身や足に子供には不釣り合いな筋肉がついた。期せずして筋肉トレーニングとなったのである。

【次ページ】 15歳の頃、ホームシックでこっそり泣きながら

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