酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
《夏の甲子園番付2021》東横綱は中京大中京、西横綱は龍谷大平安 大関昇進が狙えそうな“名門公立校”や強豪校は…
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo/Hideki Sugiyama
posted2021/08/09 11:05
中京大中京で全国制覇時の堂林翔太。同校のような名門校の“番付”はどうなっている?
大阪桐蔭と履正社の関係性も興味深い
東邦(旧東邦商)は中京大中京(旧中京)と戦前からのライバルだが、昭和中期まで夏の地方大会では東邦にとって中京大中京が大きな壁だった。相性の問題もあって実力があっても夏はなかなか出場できなかったのだ。両校の対戦は現在ではほぼ互角だが、過去の力関係が影響していると言えよう。
最近では大阪府の大阪桐蔭と履正社の関係がこれに近い。春は大阪桐蔭が26勝、優5で前頭5枚目、履正社が13勝で幕下3枚目にいるが、夏は大阪桐蔭が37勝、優5で前頭4枚目とほぼ同じ位置にいるのに対し、履正社は2019年に優勝しているものの通算9勝で番付外になっている。
両校は2017年春の甲子園では大阪勢同士で決勝で対戦している。実力は伯仲しているはずだが、1校しか出られない夏の大会では、2番手は苦しいのだ。
西横綱の龍谷大平安は、オールドファンには平安の名前の方が通りが良い。衣笠祥雄の母校。戦前、平安中の名前で夏優勝1回、戦後、平安高になってからも優勝2回、しかし龍谷大平安になってからは2014年春に優勝しているが、夏は3回戦どまりだ。
東大関・早稲田実は王貞治の出身校として知られる。2006年夏、ハンカチ王子こと斎藤佑樹の大活躍で優勝し全国的な話題になったが、夏は清宮幸太郎が主軸を打った2015年を最後に出場していない。
西大関の松山商は、ミスタータイガース景浦將などを輩出。昭和の時代強かった「商業学校」の代表格だが、2001年夏を最後に甲子園には出場していない。
西関脇のPL学園は2016年を最後に休部になっている。桑田真澄、清原和博など球史に残る名選手を多数輩出し、史上最強の評価もある。現役にはツインズの前田健太、オリックスの中川圭太がいるが、現時点ではこれ以上勝ち星は増えない。
今大会は“公立の名門”が数多く出場する
近年、私学の優勢が続いているが、そんな中で東関脇の県岐阜商、西前頭8枚目の熊本工、東十両筆頭の静岡、西十両2枚目の高松商と公立の名門が甲子園出場を決めている。
県岐阜商と言えば高木守道、熊本工は川上哲治、高松商は水原茂と殿堂入りしている野球人を輩出している。活躍すれば昭和の野球史を振り返る記事がたくさん出ることだろう。