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大苦戦した日本競泳チームには何が足りなかったのか メダル3、入賞9の“厳しい結果”を招いた「ある事情」
posted2021/08/02 20:03
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Asami Enomoto/JMPA
7月24日にスタートした競泳は、8月1日に全種目を終了した。
最終日はメドレーリレーが行なわれ、男女それぞれ決勝に進出していた日本は、男子が日本新記録、アジア新記録をマークし6位、女子は8位で大会を締めくくった。
最後は男子の中村克が47秒04の好泳を見せるなどしたものの、あらためて全体を振り返れば厳しい結果に終わった。
大橋悠依が個人メドレーで2冠、本多灯が200mバタフライで銀メダルを獲得し、メダル総数は3つ。リオデジャネイロ五輪は7、ロンドンは11、北京が5、アテネが8、シドニーが4。400m個人メドレーの瀬戸大也、200m自由形の松元克央が予選で敗退し、200m平泳ぎの佐藤翔馬も準決勝で敗退と、メダルを期待された選手たちの思いもよらない成績が続いた。
メダルの数もさることながら、入賞の数もあまりに少なかった。大会ごとに比べれば、
東京 9
リオ 22
ロンドン 19
北京 20
アテネ 20
シドニー 18
メダルなしに終わった1996年アトランタでも12を数え、入賞が一桁だったのは1988年ソウル五輪までさかのぼらなければならない。
メダル獲得の2人以外の決勝進出は「6」
そもそも決勝に進んだ選手も限られた。メダルを獲得した大橋と本多を除けば、200m平泳ぎの武良竜也、200m背泳ぎの入江陵介、200m個人メドレーの瀬戸大也、萩野公介、そして男女メドレーリレーの「6」でしかない。女子の個人種目では、大橋以外には皆無であった。
今回の日本代表は33名。代表選考においては、日本選手権で1、2位のどちらかになった上で、派遣標準記録を突破しなければならない。その記録は2019年世界選手権で決勝進出できるレベルで設定されている。今回、これをクリアして代表となった選手は男女合わせて20名いる。また、大会が始まる前に世界ランキングで3位以内に入っている選手も少なくなかった。そういう意味でも、決勝に進める選手が少なかったという印象は否めない。一部の選手のみの成績が上がらなかったわけではない。