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瀬戸大也「お前なら絶対できる」萩野公介「お前ギリギリじゃん!」 トップスイマーに可愛がられる“銀メダル”本多灯19歳
posted2021/08/05 11:02
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
JIJI PRESS
大きな期待を浴びながら苦戦続きに終わった日本の競泳陣。男子唯一のメダルとなる銀メダルを獲得して気を吐いたのが、200mバタフライの本多灯だった。
8レーンからの出場となった決勝では150mを4位でターンした後にすさまじい追い上げを見せ、自己ベストを更新する1分53秒73でゴール。
「行けるという感じしかなかった。行けないという感じは1ミリもなかった」
元気いっぱいのコメントと抜群の明るさが評判を呼んでいる19歳。
しかし、自身にとって初の五輪レースとなった7月26日の予選では緊張感がマックスになり、「招集所に入った時に、ちょっと雰囲気に飲まれてしまった」という。
翌27日の準決勝も硬さがあったがどうにか8位でぎりぎり決勝に進出。そこで開き直った。
「決勝は8レーンで一番端っこ。誰も僕が来るとは考えてないんじゃないかな。そう思ってプレッシャーが一気に消えました」
「大也さんのお陰です」
開き直れた背景には、この種目の日本記録(1分52秒53)保持者である瀬戸大也の声掛けがあった。
「自分のレースをすれば表彰台にいける。お前なら絶対できる」
本多は銀メダルを獲得した後のメダリスト会見で、瀬戸からそう言われたことが力になったと語っていた。
瀬戸は大本命だった400m個人メドレーでまさかの予選落ち、メダルを狙う実力のあったこの200mバタフライでも力を出し切れず、負のスパイラルに陥っていた。しかし、後輩を勇気づけることは忘れていなかった。
試合から数日たって行なったインタビューで本多は、「この人は本当にすごい人なんだなと、あらためて自分の尊敬する瀬戸大也なんだなと思いました」と目を輝かせながら言った。