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「スカスカな感じが目立つ」「MISIAじゃなくて中居正広」近田春夫は“東京五輪の開会式をどう見た?”〈オリパラ音頭で話題〉
text by
下井草秀Shu Shimoigusa
photograph byGetty Images
posted2021/08/04 11:04
7月23日に行われた東京五輪の開会式。式4日前に辞任した小山田氏に代わって生出演を猛アピールしていた近田氏は本番をどう見たのか?
「そう。あの仕事は、1999年の暮れ、12月29日ぐらいだったかに俺にオファーが舞い込んだのよ。サッポロビールは箱根駅伝のメインスポンサーで、毎年、1月2日の往路中継では力の入った新作CMを初披露することを恒例としていた。だから、それまでに音入れを終わらせなきゃいけないわけよ」
――何でまた、そんな綱渡りのスケジュールになっちゃったんですか。
「その段階で、映像は完成していた。だけど、そこに合わせるBGMに関しては、何人かが作ってもなかなかクライアントのOKが出ず、最後の最後に俺のところに持ち込まれたわけ。あの音楽はさ、レニー・クラヴィッツの『Are You Gonna Go My Way』の有名なギターリフを逆から弾いたらどうなるだろうという発想から作ったんだ」
――その結果、あの名作CMの最後のピースが埋まったわけですね。「オリパラ音頭」じゃなく、近田さんが五輪のために新しく作る音楽も聴いてみたかったところです。
「下世話な興味としては、小山田圭吾が作った本来の音楽がどんなものだったか、聴いてみたいところではある。ただ、こういう経緯からメディアが採り上げたんでにわかに話題になってはしまったけど、本来、ウォーミングアップ的な局面で使われるナンバーだから、さほど重要性は高くなかったんだろうなと思うんだよ」
「責められるべきは彼らを選んだ組織委員会だよ」
――別に、国際的なイベントにおいて自分の名を売り出すという意味ではなく、匿名に近い職人的な仕事として引き受けていたんじゃないかという意見もあります。
「小山田圭吾にしても小林賢太郎にしても、自分から熱心に売り込んだわけじゃなく、あくまでも請負という認識だったと思う。そうだとしたら、責められるべきは彼らを選んだ組織委員会だよ。菅首相は、小林賢太郎のユダヤ人大量虐殺ネタに関し、言語道断だと言ってたけど、それだったら、森喜朗だって言語道断じゃん。俺、腹が立って『言語道断音頭』を作っちゃったよ」
言語道断音頭 pic.twitter.com/fzPMOdrTRs
— 近田春夫 (@ChikadaHaruo) July 23, 2021
全体的に臨場感・スケール感に欠けていた
――開会式全般に関しては、どんな感想を持ちましたか。
「臨場感というか、ライブな感じがすごく乏しかった。つまり、テレビを通して観るコンテンツとしての意味を優先してるから、生で観た場合の迫力が感じられない。小さくまとまっちゃってさ。もっと粗削りなものでもよかったと思うんだよ。時々挿入される録画映像はよくできてたんだけど、よくできすぎてるから、ライブ感を削いでしまう」
――観客がおらず、歓声も上がらないから、なおさら臨場感は薄かったですね。
「トータルの演出という意味では、元ラーメンズの人がいなくなっちゃったことで、一本の芯みたいなものが失われた感じはあったね。それから、大前提として尺が長すぎた」
――ソーシャルディスタンスを保つために入場行進の所要時間が延びたとか、それなりの理由はあったみたいですけどね。