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走幅跳・橋岡優輝、“8m超え”連発の要因は助走? 跳躍種目で五輪メダル獲得となれば85年ぶり「最低限の目標に」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAsami Enomoto
posted2021/07/30 11:05
テスト大会で新国立競技場の雰囲気を味わった橋岡優輝。本番ではどんなジャンプを見せるか
橋岡の空中でのダイナミックな動作は、08年北京五輪4×100mリレー銀メダリストで96年アトランタ五輪では走幅跳にも出場した朝原宣治も、以前、「助走から踏み切りでポーンと上がる姿がイバン・ペドロソ(キューバ)のようだ」と話していたことがある。
ペドロソは1990~2000年代に世界トップで活躍していたロングジャンパー。ダイナミックに宙を駈けるジャンプで世界中のファンを魅了したが、橋岡のジャンプもまた、空中でのダイナミックな動作が大きな魅力の1つになっている。
「助走の走り方などは別として、踏み切って着地に入るまでに足を2回転半しようと思うと、どうしてもこぢんまりした動作のシザースになるのですが、世界で8m50を超えてくるような選手のシザースの動作は大きい。橋岡のシザースもこれまでの日本選手にはない大きな動作ですね」(森長)
理想的な踏み切りから、大きなシザースの動き、そして着地まできれいに持っていくことができれば、「8m50~60あたりの記録も見えてくる」と森長は言う。
ファウルが続いても動じない
さらに彼にはメンタルの強さも備わっている。今年は6本中5本がファウルという試合も経験しているが、普通ならファウルが続くと焦る素振りが見られそうなものだが、まったく動じていないように感じられた。
メンタルの強さは橋岡自身も自負するところだ。
「周りの選手に遠くに跳ばれようが、それなら自分が跳び返せばいいという感じで考えているんですよ」
どんな状況でも自分がやるべきことにフォーカスできる冷静さとハートの強さ。
気持ちの切り替えも早く、「落ち込むようなことがあっても、大概のことは寝たら忘れる。次の日はケロっとしていますよ」というところも彼の良さだ。